【背景・課題、目的・目標】
若年者の厳しい就職環境を踏まえ、相談からキャリアアップ、職業紹介までの就業支援を目的とした「若年者就業支援センター」を平成15年開設、平成16年3月 無料職業紹介事業を開始した。同年4月、国のジョブカフェモデル地域に採択され、若者の能力開発・就職促進事業等をワンストップで進めてきた。
公労使による「京都雇用創出活力会議(平成18年10月)」において、地域事情に即した就業支援をきめ細かく実施することを決め、若年者だけでなく、女性や中高年齢者等も対象にハローワークを取り込み、就業を総合的に支援する「京都ジョブパーク」を平成19年4月に開設した。
その後、障害者の就労支援のための「はあとふるジョブカフェ」、母親の就労支援のための「マザーズジョブカフェ」、仕事だけでなく暮らしのことも相談できる「ライフ&ジョブカフェ」、中小企業の人財確保支援の「中小企業人財確保センター」など、府民ニーズに対応して業容拡大を進めてきた。平成24年度からは、「京都式生活・就労一体型支援事業」として、働く能力がある年齢層の就労による自立等を目指す自立就労支援を実施しているほか、国や府が実施する「人づくり事業」の取組によるスキルアップ支援や企業の障害者雇用に対する支援等も実施してきている。
このように京都ジョブパークは以下に示す多様な就業支援から必要な生活支援までをワンストップで総合的に支援するものであり、その目標は下記の通り。
①若年者、中高年齢者、女性、障害者等の多様な求職者に対する総合的な就労支援
②人財確保にかかる相談、企業の魅力発信のアドバイス、求職者との交流等企業の人材確保・定着支援
③生活支援が必要な求職者に対する生活支援
④国や府が実施する人づくり事業(職業訓練、セミナー等)によるスキルアップ支援
⑤障害者雇用に関する一元化した企業支援(業務の切り出し、採用、人材育成、職場定着等の課題の支援)
【取組内容】
(1)京都ジョブパークの取組の進化
①第1期(平成16年~)-京都ジョブカフェ
〇若者対象のワンストップの新たな就業サービス拠点を開設、サービスを開始
②第2期(平成19年~)-京都ジョブパーク
〇若者だけでなくミドル・シニア、子育てママなど就業サービスの対象者を拡大。ハローワーク機能を拡充、ワンストップ拠点化を実現。
・ハローワーク機能(職業相談・職業紹介)を追加
・各支援機関でそれぞれ行っていた中高年齢者への支援を「オール京都体制」で実施するコーナーを開設
・子育てしながら働きたい女性など子育てと就業をワンストップで支援する「マザーズジョブカフェ」、生活支援も行う「ライフ&ジョブカフェ」を開設
・中小企業の採用・定着にかかる相談、求職者との交流・マッチング等求人開拓業務を一元的に実施する「中小企業人材確保センター」を開設
③第3期(平成24年~)-国と地方の完全一体型となる「京都ジョブパーク」(全国初)への機能拡充
〇利用者視点で地域の実状に応じた展開を図るため、国の出先機関の事務・権限を取込み、雇用対策の機能を地方で一元化した組織体制の確立
・雇用保険、職業訓練受講指示、助成金事務等も一体的に実施、北部サテライト開設により対象地域も府内全域に拡大
・京都府が無料職業紹介権を再取得し、京都市内中小企業のきめ細かいマッチングが可能
・ジョブパークのマネジメントの一本化による指示・責任の明確化
【成功要因】
①担当制によるきめ細かな指導・就業までのワンストップ、一貫指導
京都ジョブパークは、大学生、留学生、若年者、中高年齢者、女性、ひとり親家庭、障害のある方など働きたいすべての方に対し、担当制により就職までをきめ細かく支援。その上で就職が難しい方に対して、一人ひとりに応じた研修・訓練メニューを提供し、企業とのマッチングまでを一貫して支援するなどハローワークだけでは就職に至らなかった就職困難者に対してもきめ細かく対応している。
②それぞれのニーズ・事情に対応した専門的人材による行き届いたサービス提供
働く意欲があるにもかかわらず就職できていない層に対し、地域が一体となってきめ細かく自立から就業までの支援を行うのが「京都モデル」である。
例えば、子育て中の女性の社会復帰を支援するため、就職相談だけでなく、保育情報や相談に応じる「ママさんコンシェルジュ」を配置、就職活動中あるいは就職決定後子どもの預け先が決まらない場合、最大1年間の一時保育を行う「安心ゆりかごサービス」の実施など、働きたい女性の就職を総合的に支援している。
③利用者起点に立った業務サービスの見直しと目標管理の導入
「京都モデル」は先進的な取組であり、試行錯誤を進めながら、そこで得た成果と課題を京都ジョブパークに携わる多くのスタッフが共有、ノウハウを蓄積しながら実施している。利用者起点に立った事業の見直しを行い、スタッフが一体となって運営している。各人のニーズに対応し就職決定まで寄り添う主担当者制を導入している。また、均一なサービスが提供できているか、サービスが利用者起点に合致しているか、時系列での分析や見直しを行うためCS調査を導入している。全体目標、コーナー毎の目標を設定、進捗管理を行うことで、京都ジョブパークが目指す到達点をスタッフ全員で共有している。京都ジョブパークのサービス向上が一過性で終わらず、永続できるよう全員からの意見募集、オフサイトミーティングの開催など全員参加型のプロセスを経て、理念と行動指針を策定、実施している。
④府・国・委託業者参加の会議開催による関係者の連携の徹底と役割・責任分担の明確化
ジョブパーク内で働く府・国・派遣企業など様々な組織の方々が、運営戦略会議広報・マザーズ等の6テーマ別会議等で議論し、意思疎通をや相互理解を進めている。公・労・使のオール京都体制のもと、運営業務の民間委託など民間が持つ就職支援等のノウハウも活かしながら府のリーダーシップのもと円滑な事業運営を行っている。
【成果】
①府民ニーズに対応した機能拡充と先進的・総合的な取組の実現
京都ジョブパークは、平成19年4月の創設以来、その時々の府民ニーズを踏まえ、機能拡充を行ってきた。緊急経済雇用基金を活用した新卒未就職者を直接雇用して研修から就職までを一貫して支援する事業について、「京都ジョブパーク方式」として全国に展開していくことを閣議で決定するなど、その取組と成果は実証済みである。ハローワークとの「一体的実施」や「京都JPカレッジ事業」の実施なども進化した「京都モデル」として全国に発信していく。
②利用者の増加と多数の就職内定者、正規雇用者を達成
京都ジョブパークの利用者は年々増加し続けており、平成26年度にはこれまでで最大の相談者数126千人を達成、平成19年度よりの延べ相談者数は、26年度末621千人となっている。また、就職内定者数も平成26年度は9,145人と平成19年度3,012人から大きく増加しており、そのうち半数を超える5千人弱が正規雇用者である。
平成24年度からはよりきめ細かく、地元中小企業との就職マッチングにも注力できており、それが就職内定者の増加に繋がっている。
③開拓求人者など新たな事業でも成果
ジョブパークが開拓した求人数も平成26年度には22千人と大きく増加、25年度以降はほぼ2万2千人を確保している。
新規学卒未就職者や早期離職者等を対象とした「京都未来を担う人づくり推進事業」でも平成24年度は受講者117名、 うち就職者109名を達成。「障害者新・ステップアップ事業」でも平成22年度~26年度までの実績で 受講者147 名、 うち就職者119 名を達成している。
平成15年8月、若年者の厳しい就職環境を踏まえ、若年者に対し相談からキャリアアップ、職業紹介までの就業支援を目的とした「若年者就業支援センター」を開設、平成16年3月無料職業紹介事業を開始した。平成16年4月、国の「ジョブカフェ」モデル地域に採択され、若者の能力開発・就職促進事業等をワンストップで進めてきた。
平成18年10月、行政・労働者団体・使用者団体の代表が一堂に会した「京都雇用創出活力会議」において、地域事情に即した就業支援をきめ細かく実施するため、公・労・使が中核となり共同運営を行うことを決定した。ジョブカフェ事業で培ったノウハウや企業とのネットワークを活かし、若年者だけでなく、女性や中高年齢者等も対象に、就業を総合的に支援するハローワークを取込んだ「京都ジョブパーク」を平成19年4月に開設した。
その後、平成20年障害者の就労支援のための「はあとふるジョブカフェ」、平成22年母親の就労支援のための「マザーズジョブカフェ」、仕事だけでなく暮らしのことも相談できる「ライフ&ジョブカフェ」、平成23年には中小企業の人財確保を支援する「中小企業人財確保センター」など、府民ニーズに沿った支援拠点の開設を推進してきた。
併せて平成24年度から、「京都式生活・就労一体型支援事業」として、近年の生活保護受給者の増加、特に働く能力があると考えられる年齢層の受給の急増を受け、可能な限り就労による自立等を目指すことができる仕組みの構築に取組み、自立就労支援を実施している。そのほか、国や府が実施する「人づくり事業」の取組によるスキルアップ支援や企業の障害者雇用に対する支援等も多様な取組を実施してきている。
京都ジョブパークは多様な就業支援を目的とするが、下記のように一部については生活支援までをも対象としている。
①若年者、中高年齢者、女性、障害者等の多様な求職者に対する総合的な就労支援
②人財確保にかかる相談、企業の魅力発信のアドバイス、求職者との交流等企業の人材確保・定着支援
③就労支援と併せて支援が必要な求職者に対する生活支援
④国や府が実施する人づくり事業(職業訓練、セミナー等)による求職者のスキルアップ支援
⑤障害者雇用に関する一元化した企業支援(業務の切り出し、採用、人材育成、職場定着等課題への支援)
平成22年12月末の閣議決定に伴い、「住民に身近な行政はできる限り地方自治体へ委ね、地域における行政を地方自治体が自主的かつより総合的に実施できるよう出先機関の事務・権限をブロック単位で移譲する」との方針が示された。
ハローワークの機能強化や職業紹介事業・雇用保険事業等のワンストップでの処理のためには、雇用保険や各種助成金業務等を実施できるようにする必要があった。
京都府はハローワークの機能強化として職業紹介に加え、雇用保険、訓練受講指示、各種助成金事業等及び京都府の無料職業紹介権の再取得ができるよう権限移譲の提案を、平成23年10月25日行い、国の了承を得て、24年4月からジョブパークでの事業を拡充した。これにより、ほぼすべてのハローワーク機能が利用可能になったほか、受講指示によるキャリアカウンセリングからスキルアップ、マッチングの一貫支援が可能となった。
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京都府、連合京都、京都経営者協会、ハローワーク(労働局)に京都市及び各種団体
企業応援団2704社(平成27年3月31時点)
-セミナー・研修への講師派遣、職場実習の受入、企業説明会(個別・ミニ・合同)への参加等
(未入力)
(1)京都ジョブパークのコンセプト
京都ジョブパークは下記のコンセプトの下、求職者の就職支援だけでなく求職者の生活支援や企業の人財確保・定着支援の3つの歯車をしっかりと連動させながら、全国で初めて公労使が一体となって就業支援の取組を推進している。
①全国初の公・労・使による共同運営方式を採用
京都労働局・京都府・京都市=「公」、連合京都=「労」、京都経営者協会=「使」を中心に関係団体が加わった「地域で支える共同運営方式」で運営している。
②京都労働局・ハローワークとの連携によるワンストップ機能
専門キャリアカウンセラーによる相談からハローワークによる職業紹介、就職後の定着支援までワンストップで支援している。
③求職者のニーズに応じたきめ細かな支援
若年者、中高年齢者、女性、ひとり親家庭、障害のある方で就職を希望する方、福祉、農林水産業に就職を希望する方のための専門コーナーを設置し、担当制によるカウンセリングを中心に利用者ニーズに応じたきめ細かな就労支援を実施している。
④企業応援団の結成
就業を目指すジョブパークの求職者の支援のため、セミナー・研修への講師派遣、職場実習の受入などの対象となる2千社を超える地元企業が応援団を結成するなど、オール京都体制で企業が京都ジョブパークの求職者を支援している。
(2)京都ジョブパークの進化
①第1期(平成16年~)-京都ジョブカフェ
〇若者対象のワンストップの新たな就業サービス拠点を開設、サービスを開始
②第2期(平成19年~)-京都ジョブパーク
〇若者だけでなくミドル・シニア、子育てママなど就業サービスの対象者を拡大。ハローワーク機能を拡充、ワンストップ拠点化を実現。
・ハローワーク機能(職業相談・職業紹介)を追加
・各支援機関でそれぞれ行っていた中高年齢者への支援を「オール京都体制」で実施するコーナーを開設
・子育てしながら働きたい女性など子育てと就業をワンストップで支援するマザーズジョブカフェ、生活支援も行うライフ&ジョブカフェ開設
・中小企業の採用・定着にかかる相談、求職者との交流・マッチング等求人開拓業務を一元的に実施する中小企業人材確保センターを開設
③第3期(平成24年~)-国と地方の完全一体型となる「京都ジョブパーク」(全国初)への機能拡充
〇利用者視点で地域の実状に応じた展開を図るため、国の出先機関の事務・権限を取込み、雇用対策の機能を地方で一元化した組織体制の確立
・雇用保険、職業訓練受講指示、助成金事務等も一体的に実施、北部サテライト開設により対象地域も府内全域に拡大
・ハローワークの受講指示等の権限や府実施の職業訓練事業を生かし、キャリアカウンセリングから教育・就職までの一貫支援が可能
・京都府が無料職業紹介権を再取得し、京都市内中小企業のきめ細かいマッチングが可能
・ジョブパークのマネジメントの一本化による指示・責任の明確化
(3)京都ジョブパーク取組事業の概要
京都ジョブパークでは機能拡充とともに求職者の一人ひとりの状況に応じた極め細かなキャリアカウンセリングにつなげるため、初回受付時に最適なコーナーとキャリアカウンセラー(主担当)を選定、担当カウンセラーが就業から定着までを一貫して伴走支援している。
平成25年度からはジョブパーク共通の適性検査を実施、就職活動の前提となる社会人基礎力の「見える化」を図り、これにより基礎力の効果的な習得、適性を考慮したキャリアカウンセリング、応募先の検討に活用し、就職力の強化、精度の高いマッチングに繋げている。現在実施している事業概要は以下の通り。
①京都わかものハローワークとの共同支援
正規雇用での就職を目指す若者に対して、平成26年度に設置された「京都わかものハローワーク」と共同で担当者制による個々人の状況に応じたキャリアカウンセリング、社会人基礎力の習得、正規雇用への意識づけ及びマッチング、就職後の定着まで一貫した支援を、国・府のメニューを活用し、総合的に推進している。ジョブパークのキャリアカウンセラーが主にキャリア支援、ハローワークの就職支援ナビゲーターが職種選択を担当、それぞれが得意分野を担当する「ペア支援」で行っている。
②中高年齢者マッチングプロジェクト
中高年齢者に対する就職支援は、ジョブパーク、京都人材銀行及び産業雇用センターが連携し、各々の長所を活かしたオール京都での支援を実施することで、正規雇用をはじめとする一人ひとりにとっての最適な就職を強力に推進する。
3者が連携することにより、求人開拓などでの重複訪問を防ぐ、キャリアチェンジのための共通セミナーを実施する等、再挑戦を支援する取組等を効果的に行っている。
③マザーズジョブカフェ
子育てしながら働きたい女性や母子家庭(ひとり親)のニーズに応じて女性の再就職や保育所の相談・情報提供等子育てと就業をワンストップで支援する。
就職活動中や職業訓練受講中、あるいは就職決定後子どもの預け先が決まらない場合には、一時保育を引き受けるなどのサポートや適性検査より選定した少数の求職者に対する企業のミニ説明会開催等のきめ細かな支援を行っている。
④はあとふるジョブカフェ
京都ジョブパークと連携しながら障害のある求職者に対し、カウンセリングを基軸に個々の状況に応じたセミナーや職業訓練・職場実習を提供し、一般就労が可能な人材の育成から就職、定着まで一貫した支援を実施している。障害者を雇用する企業を総合的に支援する「京都障害者雇用企業サポートセンター」、委託訓練を実施する「府立高等技術専門校(障害者向け職業訓練)」、障害者の就労から就職後の生活面までを支援する「障害者就労・生活支援センター」が一体で障害者雇用率2.2%を目指しワンストップで支援する。
⑤自立就労支援(京都自立就労サポートセンター)
京都自立就労サポートセンターでは、生活面や社会面両面で複合的な課題を抱える就労困難者に対して寄り添い支援を行う。ハローワークや福祉事務所等関係機関と連携、必要な制度やサービスを繋ぐなど総合的に自立就労支援を実施する
⑥「中小企業人財確保センター」開設
中小企業の人財確保にかかる相談、魅力発信のアドバイス、求職者との交流・マッチング等(企業説明会、職業紹介等)による求人開拓業務を「人材確保センター」に一元化、労働局・京都市・経済団体などオール京都体制で人財の確保から定着まで中小企業をトータルに支援する
⑦大学生・留学生への一貫支援
大学と連携し、入学直後の大学生を対象に、企業理解のための講座開設、企業見学会、短期インターンシップを実施し、働くことの意義、企業・業界の理解を促進し、大学生・留学生のキャリア形成を支援するとともに、京都企業への関心を深める。
また経済的理由からインターンシップへの参加・就職活動を制限せざるを得ない学生や留学生を対象に、派遣制度を活用した就業体験を実施することでキャリア形成の支援や人材確保に悩む京都の中小企業を支援する。
以上のキャリア形成の支援とともにジョブパークでのセミナー等による面接対策や就活力アップ、適性を考慮した少人数による説明会の開催等により大学生・留学生の就職を支援する。
カウンセリングやセミナーだけでは就労に結びつかない大学等の新卒未就職者や若年求職者に対しては、派遣事業者等が直接雇用、研修・訓練から企業とのマッチングまでを一貫して支援する事業(京都未来を担う人づくり推進事業)を実施する。
⑧障害者新・ステップアップ事業
一般就労を目指す精神障害者を直接雇用し、ジョブパークの各コーナーと連携した一人ひとりの特性に応じた研修プログラムにより早期の就業を支援する。
⑨京都JPカレッジ事業(社会人基礎力強化)
企業が求める社会人基礎力が不足しているため、就職活動が長期化する長期離職者や若年求職者及び障害のある求職者等を対象に、一人ひとりの状況に応じた受講しやすいスタイルの人材育成研修及び受講後の不足するスキルの補完など研修・訓練から就職までの一貫して支援を実施、就職困難者を早期就業に導く。
・平成15年:若年者の就業支援を目的とした「若年者就業支援センター」を開設
・平成16年:国のジョブカフェ事業の採択、事業(「京都ジョブカフェ」)の実施
・平成18年:第1回京都雇用創出活力会議開催
・平成19年:女性や中高年齢者等も含め総合的に支援する「京都ジョブパーク」を開設
・平成20年:障害のある方の就労支援を実施する「はあとふるジョブカフェ」の開設
・平成22年:子育てしながら働きたい女性の就労支援を実施する「マザーズジョブカフェ」、生活支援も必要な一人ひとりに寄り添い支援を実施する「ライフ&ジョブカフェ」の開設
・平成23年:企業の人財確保から定着までをトータルに支援する「中小企業人財確保センター」の開設
・平成24年:総合的な自立就労支援を実施する「自立就労サポートセンター」の開設
(京都ジョブパークとハローワークによる完全一体型の就業支援を実施)
・平成26年:「国・府一体人づくり事業」により雇用対策を地域がワンストップで実施
・平成27年:障害者雇用に関する企業支援を実施する「障害者雇用企業サポートセンター」を開設
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○キャリアカウンセラー等の職業能力開発に係る専門家
○「京都雇用創出活力会議」:行政、労働者団体、使用者団体の代表者が一堂に会し、オール京都体制での雇用対策のあり方、戦略等について協議する。
-構成:京都府知事、京都市長、京都労働局長、連合京都会長、京都経営者協会会長
○「京都ジョブパーク推進協議会」:「京都雇用創出活力会議」における合意をもとに、公労使が核となり、京都府の関係団体等が参画して京都ジョブパークを共同運営。
・会長:京都府知事 副会長:連合京都会長、京都経営者協会会長
・幹事:京都府、京都市、京都労働局、連合京都、京都経営者協会
・構成団体:京都府社会福祉協議会、京都府商工会議所連合会、京都府商工会連合会、京都府中小企業団体中央会、京都工業会 等
①ワンストップ、担当制によるきめ細かな指導・就業までの一貫指導
京都ジョブパークは、大学生、留学生、若年者、中高年齢者、女性、ひとり親家庭、障害のある方で就職を希望する方をはじめ、福祉、農林水産業に就職を希望する方のための専門コーナーを設置するなど、働きたいすべての方に対し、担当制によるカウンセリングやセミナーの実施等により就職までをきめ細かく支援。
その上で就職が難しい方に対して、一人ひとりに応じた研修・訓練メニューを提供し、企業とのマッチングまでを一貫して支援するとともに、生活支援も必要な方には、パーソナル・サポーターが一人ひとりに応じた寄り添い支援を実施、就職までを支援するなど、これまでのハローワークだけでは就職に至らなかった就職困難者に対してもきめ細かく対応している。
②それぞれのニーズ・事情に対応した専門的人材による行き届いたサービス提供
働く意欲があるにもかかわらず就職できていない層に対し、地域が一体となってきめ細かく自立から就業までの支援を行うのが「京都モデル」である。
例えば、子育て中の女性の社会復帰を支援するため、就職相談だけでなく、府内全域の保育情報や相談に応じる「ママさんコンシェルジュ」を配置、就職活動中あるいは就職決定後子どもの預け先が決まらない場合、最大1年間の一時保育を行う「安心ゆりかごサービス」の実施など、働きたい女性の就職を総合的に支援している。
③利用者起点に立った業務サービスの見直しと目標管理の導入
「京都モデル」は先進的な取組であり、試行錯誤を進めながら、そこで得た成果と課題を京都ジョブパークに携わる多くのスタッフが共有、ノウハウを蓄積しながら実施している。利用者起点に立った事業の見直しを行い、スタッフが一体となって運営している。具体的には以下の通り。
<主担当性の導入等>
・各人のニーズに対応し就職決定まで寄り添う主担当者制を導入している。また、受付、案内サインを統一、利用者が迷わず、サービスを利用できるフロアとしている。
<統一ルールの策定>
・スタッフ全員が高い水準でサービスを提供できるように、具体的な支援内容を取扱要領として文書化し、常に携行することで業務の平準化と質の向上を実現。
<CS調査の実施>
・均一なサービスが提供できているか、サービスが利用者起点に合致しているか、時系列での分析や見直しを行うためCS調査を導入。
<目標管理の導入>
・全体目標、コーナー毎の目標を設定、進捗管理を行うことで、京都ジョブパークが目指す到達点をスタッフ全員で共有。
<理念・行動指針の策定>
・京都ジョブパークのサービス向上が一過性で終わらず、永続できるよう、また、スタッフ全員の気持ちを一つにするため、全員からの意見募集、オフサイトミーティングの開催など全員参加型のプロセスを経て、理念と行動指針を策定。毎朝の理念の唱和、毎週の行動指針の唱和、毎月の事例発表会等を実施。
④府・国・委託業者参加の会議開催による関係者の連携の徹底と役割・責任分担の明確化
キャリアカウンセラーが社会人基礎力や就業能力の習得を、ハローワークが適性に合った職種選択を行う求職者への「ペア支援」により役割を分担する等利用者起点で問題解決に当たっている。このためジョブパーク内で働く府・国・派遣企業など様々な組織の方々が、運営戦略会議やその下での広報・マザーズ等の6つのテーマ別会議等で議論し、意思疎通をや相互理解を進めている。ジョブパークでは、公・労・使のオール京都体制のもと、運営業務の多くを民間企業に委託するなど、民間が持つ就職支援等のノウハウも活かしながら府のリーダーシップのもと円滑な事業運営を行っている。
①府民ニーズに対応した機能拡充と先進的・総合的な取組の実現
・京都ジョブパークは、平成19年4月の創設以来、その時々の府民ニーズを踏まえ、機能拡充を行ってきた結果、その利用者は年々増加し続けている。平成22年度には、緊急経済雇用基金を活用した新卒未就職者を直接雇用して研修から就職までを一貫して支援する事業について、「京都ジョブパーク方式」として全国に展開していくことを閣議で決定するなど、その取組と成果は実証済みである。ハローワークとの「一体的実施」や「京都JPカレッジ事業」の実施など、進化した総合就業支援拠点「京都ジョブパーク」の取組についても、社会的認知度を高め、「京都モデル」として全国に発信していく。
②利用者の増加と多数の就職内定者、正規雇用者を達成
・京都ジョブパークの利用者は年々増加し続けており、平成26年度にはこれまでで最大の相談者数126千人を達成、平成19年度よりの延べ相談者数は、26年度末621千人となっている。また、就職内定者数も平成26年度は9,145人と平成19年度3,012人から大きく増加しており、内定者累計は約44千人となっている。なお、平成26年度は半数を超える5千人弱が正規雇用者である。
平成24年度からは京都府も無料職業紹介権を取得しており、ハローワークに加え京都府が取得したことで、よりきめ細かく、地元中小企業との就職マッチングにも注力できており、それが就職内定者の増加に繋がっている。
③開拓求人者など新たな事業でも成果
ジョブパークが開拓した求人数も平成26年度には22千人と大きく増加、25年度以降はほぼ2万2千人を確保している。
新規学卒未就職者や早期離職者等を対象とした「京都未来を担う人づくり推進事業」でも平成24年度は受講者117名、 うち就職者109名、内定率93.2%を達成している。「障害者新・ステップアップ事業」でも平成22年度~26年度までの実績では 受講者147 名、 うち就職者119 名、内定率81%に達している。
・京都ジョブパークは大学生などにとっては、『就職困難者がいくところ』との印象が持たれているようであり、必ずしも良いイメージではないものの、就職困難層への支援としては一定の役割を果たしていると評価されている。最近では企業から『良い人材を紹介して戴いたので、次回も人材を紹介戴きたい』など着実に評価が高まってきている。ミニ企業説明会、個別企業説明会への企業の参加意向も多くなっており、人材紹介機関としての評価は高まってきている。
今後は人材紹介にとどまらず、取組みをさらに進めて、良い人材の供給機関としての役割を果たしていくことで、評価をさらに高めていけると考えている。
①職業能力開発等への適正評価の活用によるミスマッチの解消
求職者が早い時期から職業意識を高め、求人ニーズに応じた実践的なキャリアアップ等に努めれば、再就職の可能性は高まる。また、平成25年度からジョブパークでは適正評価を実施、社会人基礎力や就職力の強化に活かしている。今後はさらに適性評価テストをより実践的に活用して、多様な職業能力の把握・開発に繋げるための見直し等を行っていく。
②高度な職業能力開発による人材供給機関としての役割の増大
京都府においても建設業や中小企業などを中心に人材不足が著しくなっており、就業支援に軸足を置きながらも中小企業等への人材供給機関としての役割を果たす必要が出てきている。雇用環境は改善してきている一方で非正規雇用が増えており、早期離職も依然として多い。このような原因をなす就業におけるミスマッチを解消しながら中長期的には職業能力の高い人材育成を学生の早い時期から行っていくことが必要となっている。
①「京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクト」の活用による雇用創出
次世代の京都ものづくり産業を担う新事業展開や人材育成を支援することで、新たな雇用を創出することを目的とした「京都次世代ものづくり産業雇用創出プロジェクト」を活用したものづくり専門研修や企業実習(紹介予定派遣)などより実践的な研修機会を創出、ミスマッチの解消や早期離職を阻み、安定的な雇用の創出・拡大を推進する(平成25 年10 月よりオール京都体制で実施)。
②教育機関と連携したキャリア教育の充実
京都ジョブパーク利用者についても、就職が決まらず、就職活動が長期化する求職者が増える傾向にあることから、「京都JPカレッジ事業(人づくり大学)」による社会人基礎力の強化、京都府と京都市が持つ就職支援ポータルサイトの統合による企業情報の一括発信などを通じて、求職者と京都企業とのマッチングを強化するとともに、「京都キャリア教育推進協議会」を設置し、教育機関と連携した段階的・総合的なキャリア教育の充実を図る。
・平成22年度には、緊急経済雇用基金を活用した新卒未就職者を直接雇用して研修から就職までを一貫して支援する事業について、「京都ジョブパーク方式」として全国に展開していくことを閣議で決定され、その後、同様の取組が全国で実施。
・また、平成24年度には、全国から約80件の視察を受けるなど、京都ジョブパークの取組は全国的にも注目されている。
・総合就業支援拠点「京都ジョブパーク」の取組は、京都独自の資源を活用している訳ではなく、他府県においても、首長の指導力と、関係団体等との密接な連携、全体をコーディネートする人材の育成等により十分に実施が可能。