1. プロジェクト名
こうちこどもファンド(高知県高知市)

2. 概要

【背景・課題、目的・目標】
地域コミュニティでは担い手が不足して,昔ながらの助け合い・支え合い(相互扶助)が失われつつあるなかで、ボランティア活動や市民活動に自主的に参加する人が徐々に増え,市民自らが「まちづくり」の担い手として参加し,行動することの意義が認識されはじめた。これを受け、市民による地域づくりを推進する「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」を平成15年4月に施行、同時に市民やNPO,事業者,市が連携するまちづくり活動を支援するため,公益信託「高知市まちづくりファンド」を創設し、資金面から活動を支えた。
実施後10年の成果を振り返る検討委員会を平成23年に設置、委員会による「子どもによるまちづくり」の提言を踏まえ,これを支援する事業としてドイツミュンヘン市の取組みを参考に「こうちこどもファンド」の制度を設計した。
将来のまちづくりを担う子どもたちの「自分たちのまちを良くしたい」との想いを実現するために,「こうちこどもファンド」は創設された。「高知市子どもまちづくり基金」をベースに、“子どもたちのまちづくり活動”を支援、以下を目標としている。
①将来のまちづくりを支える「人財」の育成-子どもの時からまちづくり活動に携わる主体性を醸成、将来、地域活動に参加する「人財」を育成する。
②子どもを中心とした地域内多世代交流によるまちづくりの活性化-活動を進めていくなかで周囲の大人たちが巻き込まれ、地域活動の活性化が図られる。ファンドを通じた「夢の実現」に留まらずに,子どもたちのたくさんの「学び」と「成長」を得て、地域内での多世代交流や地域全体の活性化を図っていく。
③子どもたちにやさしい高知市の実現-子どもたちの感性やアイデアをまちづくりに反映することで、社会的弱者にとっても住みやすく、優しいまちをつくりあげる。

【取組内容】
「こうちこどもファンド」による事業はこどもの目線によるまちづくり活動の提案であり,周囲の大人も巻き込んだ地域活動に繋がる。こどもたちの「まちをよくしたい」取り組みに対し,柔軟に助成をおこなうことで,迅速な対応が必要な課題に対して,周囲の大人のサポートも得て,柔軟に実践している。
活動事例の一つである「瀬戸東町1・2丁目元気キッズ」は、地域内の子どもたちで作物を育て,収穫,高齢者等と食事会を開催,世代間交流を図る活動を行っている。高齢者の生きがいにもつながり,行政では実施困難な“こどもと高齢者の交流活動”を創出・実践している。
こうちこどもファンドの年間活動スケジュールは概ね以下の通りである。

(1)事業募集(特に1~5月期,随時)
・説明会の開催,制度の周知-小学校・中学校や青少年育成協議会,体育会等子ども達の関係する団体に説明,事業周知および募集を図る。
(2)公開審査会の開催(6月)
1)提案事業の書類確認等-応募要件が満たされているか,申請書類の不備がないか等,公開審査会に諮る資料確認等を行う。
【応募資格】
①市内に在住,または通学・通勤している18歳以下の子どもが3人以上、②サポートする20歳以上の大人が2人以上、③複数世帯(2世帯以上)の子どもで構成
【助成対象となる活動】
①住んでいる地域や学校の周りをもっと楽しくて暮らしやすいところにする活動、
2)公開審査会
応募団体に対する助成を決定するため,「大人審査員」と「こども審査員」で構成する審査会を公開で開催。助成の可否は,こども審査員の過半数の賛成によって決定 ①応募団体による公開プレゼンテーション(各3分)・質疑応答(各5分)
②こども審査員が,公開プレゼンテーションと質疑応答の内容から,公開で審議をし,助成を決定。
(3)助成団体の活動期間(7~2月)
 審査会において助成決定された団体は,7月から翌年2月にかけてそれぞれの活動を行う。
(4)助成団体活動発表会(3月)
 助成団体が活動期間内におこなった実際のまちづくり活動について,発表を行う。自信あふれる発表に一回り成長した子どもたちの姿を感じる。

【成功要件】
①「こども・子育て支援事業」を重点事業として位置づけ、子どもによるまちづくり事業を経験
「こうちこどもファンド」以外に子どもによるまちづくり活動支援事業として,平成21年度から「とさっ子タウン」を開催している。毎年,小学校4年生から中学校3年生までの約300人の子どもたちがタウン内で仕事をし,給料をもらい,税金を納め,選挙で市長や議員を選ぶなど,「社会のしくみ」を学んでいた経験があった。
②こども審査員による助成の可否判断にあたり事前の十分な体験・学習機会の付与
応募の審査、発表内容の質疑そして助成の可否判断などすべて子どもたちが行い、子どもの目線からの審査がされているが、「審査会」に臨み、審査をする際に何が重要と考えるのか、等を事前に話し合い、審査項目の決定後は模擬審査を行うなど事前の体験・学習を十分に実施している。
③多様な団体・個人の参加や助成
こどもファンドには『子どもファンドアドバイザー』を置き、活動を支援しているほか、町内会の皆さん、まちづくりに携わる団体、メディア、企業など様々な団体・個人ができるところで支援している。このように市民・市役所・企業などが連携した支援の輪が子どもたちの生き生きとした参加を促している。

【成果】
①こどもと地域住民の交流を契機とした地域活動の活性化
子どもたちが直接行うまちづくり活動は,世代をまたいだつながりとなり,地域住民との交流が生まれるともに,自分たちでまちをつくる,支えているという意識の子どもの頃からの育成、将来の地域人材の育成に繋がり、地域の活性化が期待できる。
②子どもたちのまちづくりのアイデアの多様性を活かした取組と子ども達の成長
子どもたちのまちづくり活動の発想については,「子どもが全て考える」ということが難しい面もあるが,子どもたち自身が活発に取り組む姿や支援の輪の広がりが出てきている。「こうちこどもファンド」での子どもたちの活動は様々で,今後の事業展開の可能性は無限であり、これを地域活性化,子どもたちのまちづくりに繋げる。
③地域社会の支援と理解の進展
「こうちこどもファンド」の主体は子どもたちであるが,活動に伴い発生する費用は「助成」により活動支援しているが,資金についても現在,企業等からの寄附で賄えている状況であり、地域の理解も進んできている。

【今後の課題、方向等】
①子どもたちの活動に対する支援体制の充実
「こうちこどもファンド」は子どもたちが行うまちづくり活動を社会全体で支える仕組みで,官(高知市)だけでなく,周囲の大人や企業の関わりも重要となる。また,事業を継続していくためには企業等からの賛同(寄附)も必要で,地域住民,行政,企業等の全ての社会資源を活用した取り組みができるよう体制づくりが必要である。
②「こうちこどもファンド」事業への多様な支援の検討 
「こうちこどもファンド」での活動内容は,福祉,環境,防災分野とさまざまで,子どもたちの純粋にまちをよくしたいというアイデアによるものと,すぐ身近で取り組みが可能な活動のため,効果が実感できる内容が多く,地域住民も一体となって関わることができる。今後は多様な支援方法も検討していく必要がある。
③地域のサポーターや支援者の増大
「こうちこどもファンド」で活躍した子どもたちが大人になり,サポーターや地域活動への参加者として帰ってくれば,この事業を創設した意義と効果が実感できる。行政と市民が協働のもと,地域が一体となって様々な活動に取り組む方を増やすことでさらなる発展に繋がるものと考えている。

こうちこどもファンド(高知県高知市).pdf

3. プロジェクトを企画した理由・課題(状況)

高知市では「まちづくり」を『多様な主体が連携・協力して自治的なコミュニティを形づくりながら、居住環境の改善を実現しようとする住民と行政との共同の活動』と考え,各地区においてコミュニティ計画の策定を進めている。
しかしながら、地域コミュニティでは担い手が不足して,昔ながらの助け合い・支え合い(相互扶助)が失われつつあり,自治活動の危機が現実のものになることが危惧されてきた。このようななかで、さまざまなボランティア活動や市民活動に自主的に参加する人が徐々に増え,市民自らが「まちづくり」の担い手として参加し,行動することの意義が認識されはじめたことから,市民による地域づくりを推進する「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例」を平成15年4月に施行した。これと同時に市民やNPO,事業者,市が連携するまちづくり活動を支援するため,公益信託「高知市まちづくりファンド」を創設し、資金面から活動を支えた。
実施後10年の成果を振り返る検討委員会を平成23年に設置した。その委員会による「子どもによるまちづくり」の提言を踏まえ,これを支援する事業としてドイツミュンヘン市の取組みを参考に「こうちこどもファンド」の制度を設計した。

4. プロジェクトの達成目標

将来のまちづくりを担う子どもたちの「自分たちのまちを良くしたい」-そんな想いを実現するために,「こうちこどもファンド」は創設された。「高知市子どもまちづくり基金」をベースに、“子どもたちのまちづくり活動”を支援するもので、この事業に賛同する個人や企業からの寄附を募り、以下を目標としている。
① 将来のまちづくりを支える「人財」の育成
 子どもの時からまちづくり活動に携わることで、『自分たちのまちは自分たちで良くする』との主体性を醸成し、コミュニティ能力や市民性を育み、将来、地域活動に参加する「人財」を育成する。
まちづくりの楽しさや大切さを体験した子どもたちに,創造力と実行力を兼ね備えた郷土の先人“坂本龍馬”のような大人に育ってもらいたい。
②子どもを中心とした地域内多世代交流によるまちづくりの活性化
活動に周囲の大人である家族や地域住民、関係団体の協力が必要不可欠である。活動を進めていくなかで周囲の大人たちが巻き込まれることで、地域活動の活性化が図られる。「高知のまち全体が自分たちを応援してくれている!!」との温かい支援を感じることで,子どもたちの自信に繋げていき、ファンドを通じた「夢の実現」に留まらずに,たくさんの「学び」と成長」を得ることで地域内での多世代交流や地域全体の活性化を図っていく。
③子どもたちにやさしい高知市の実現
子どもたちにやさしいまち、それは社会的弱者にやさしいまちです。子どもたちの感性やアイデアをまちづくりに反映することによって子どもたち、そして皆にとって住みやすく、優しいまちをつくりあげる。

5. プロジェクト実行に関連した政策(有れば)

子どもが運営するまち『とさっこタウン』(http://tosacco-town.com/

6. プロジェクト実行に関連した規制(有れば)

特になし

7. 上記規制をどう解決、回避したか

8. プロジェクトに対する国、県の補助金・支援政策(具体的な補助金事業名、年度、金額)

特になし

9. 補助金に対する報告書のファイル

なし

10. プロジェクトに投入、活用した地域資源、地域人材

(未入力)

11. プロジェクト推進の協力者、協力団体(商工会議所、NPOなど)

卯月盛夫 早稲田大学社会科学総合学術院教授(こうちこどもファンド審査委員長)

12. プロジェクト推進の産学連携や技術(有れば)

(未入力)

13. プロジェクトを構成するプログラム(プロジェクトで実施した行動)

「こうちこどもファンド」の応募事業はこどもの目線によるまちづくり活動の提案であり,周囲の大人も巻き込んで地域一帯での活動に繋がる。こどもたちの「まちをよくしたい」取り組みに対し,柔軟に助成をおこなうことで,社会的ニーズへの迅速な対応が必要な課題に対して,周囲の大人のサポートも得て,柔軟に実践できる環境となっている。
 活動事例の一つである,「瀬戸東町1・2丁目元気キッズ」は地域内の子どもたちで作物を育て,収穫し,高齢者等と食事会を開催し,一緒に過ごすといった世代間交流を図る活動を行っている。高齢者の生きがいにもつながっており,行政では実施困難な“こどもと高齢者の交流活動”を創出・実践している。
こうちこどもファンドの年間活動スケジュールは概ね以下の通りである。

(1)事業募集(特に1~5月期,随時)
・説明会の開催,制度の周知
対象となる団体に対し,制度の説明や応募方法,審査方法等を説明するとともに,小学校・中学校や青少年育成協議会,体育会等子ども達の関係する団体に説明,事業周知および募集を図る。

(2)公開審査会の開催(6月)
1)提案事業の書類確認等
応募要件が満たされているか,申請書類の不備がないか等,公開審査会に諮る資料確認等を行う。
【応募資格】
①市内に在住,または通学・通勤している18歳以下の子どもが3人以上
②サポートする20歳以上の大人が2人以上
③複数世帯(2世帯以上)の子どもで構成されている
【助成対象となる活動】
①住んでいる地域や学校の周りをもっと楽しくて暮らしやすいところにする活動
   ⇒ 「誰かが喜んでくれる!」 
 
2)公開審査会
応募団体に対する助成を決定するため,審査会を開催。審査会は,「大人審査員」と「こども審査員」で構成されており,公開により実施。制度の趣旨を尊重するため,助成の可否は,こども審査員の過半数の賛成によって決定する。(この方法を採用するのは「こうちこどもファンド」が全国で初)
 【子ども審査員の事前研修】
「こども審査員」は初めての子どももいるため,審査会の1週間前に「事前研修会」を開催し,この事業の趣旨を学ぶとともに,審査する際のポイント等を決定する。
 
【こども審査員サポーター】
「こども審査員」をサポートするために,「こども審査員サポーター」を配置(教育委員会に依頼)。子どもたちの意見の引き出し役など支援をおこなう。
 【こどもファンドアドバイザー】
応募団体側のサポートとして,「こどもファンドアドバイザー」を配置。出張相談やワークショップなど応募団体の「想い」を引き出し,「形」にするお手伝いや,応募団体の交流会のコーディネート等をおこなう。
①応募団体による公開プレゼンテーション(各3分)・質疑応答(各5分)
②こども審査員が,公開プレゼンテーションと質疑応答の内容から,公開で審議をし,助成を決定。

(3)助成団体の活動期間(7~2月)
 審査会において助成決定された団体は,7月から翌年2月にかけてそれぞれの活動を行う。
団体よっては当初の計画どおりに活動が進まずに苦労するケースもある。一方で、最初の計画に留まらず,地域の団体や企業などを巻き込んで活動の広がりを見せたケースや,他の地域から「参考にさせてほしい」という問合せのあるケースなども見受けられた。

(4)助成団体活動発表会(3月)
 助成団体が活動期間内におこなった実際のまちづくり活動について,発表を行う。助成団体は自分たちの住む「まち」について,それぞれの立場で感じ,考え,行動し,自信あふれる発表に一回り成長した子どもたちの姿を感じることができた。

こうち子どもファンド資料
http://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/attachment/15374.pdf
http://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/attachment/15375.pdf

14. スケジュール(行程表)

平成23年度 「公益信託高知市まちづくりファンドの今後の在り方に関する検討委員会」設置、「子どもによるまちづくり」を提言、
「こうちこどもファンド」の制度を設計
平成24年度 「こうちこどもファンド」創設、市民の寄付も得て、まちづくり事業を公募、審査実施
平成24年度 「こうちこどもファンド」事業を選定・実施、25年3月活動発表会を開催
平成25年度~「こうちこどもファンド」事業を実施

15. プロジェクト予算(年度ごとの金額、あれば予算書)

平成24年度から始まった「こうちこどもファンド」は27年度で4年度となるが、今まで活用した団体は全部で33団体,助成金額は合計5,829千円(H27は助成決定額)となっている。また寄付金としては平成26年度末時点で合計8,586千円受け入れている。

16. プロジェクト遂行で調達した専門人材(エンジニア、デザイナー、知財関係など)

17. プロジェクト推進・運用組織(あれば組織図)

①高知市重点施策事業として位置付け、「子ども未来部」を設置
高知市の重点施策の一つである「子ども・子育て支援策」として、子どもによるまちづくり活動支援事業を位置付け,子どもたちの社会参画やまちづくりに対する意識の醸成を図っているが、平成26年度から新たな部局として「こども未来部」を設置、子育て支援や少子化対策等子どもをとりまく社会環境の変化に迅速に対応している。「こうちこどもファンド」事業についても,大人審査員にこども未来部長や教育長が就任するなど複数の部局で関わることにより,市全体の組織として一体的に取り組んでいる。

18. プロジェクトの成功要件(要因できるだけ多く)

①「こども・子育て支援事業」を重点事業として位置づけ、子どもによるまちづくり事業を経験
高知市では「こうちこどもファンド」以外に子どもによるまちづくり活動支援事業として,ドイツで開催の「ミニ・ミュンヘン」を参考に,平成21年度から「とさっ子タウン」を開催している。毎年,小学校4年生から中学校3年生までの約300人の子どもたちが「自分たちのまち」として仕事をし,給料をもらい,税金を納め,自由にお金を使ったり(とさっ子タウン内通貨),起業をし,選挙で市長や議員を選ぶなど,主体的に「社会のしくみ」を学んでいた経験があった。
②こども審査員による助成の可否判断など事前に体験・学習したこどもたちによる運営
応募の審査、発表内容の質疑そして助成の可否判断などすべて子どもたちが行っている。子どもたちが質疑を行うことで、子どもの目線から応募案件が審査され、子どもたちにとっても実行のヒントとなる等の効果もある。また、こども審査員は、「審査会」に臨んで、自分たちが審査をする際に何が重要と考えるのか、等を事前に話し合い、また審査項目の決定後は模擬審査を行うなど事前体験・学習を十分実施している。
③多様な団体・個人の参加や助成
こどもファンドには「子どもたちがどんな活動をしたらよいのか」、「どのようにしたらできるのか」などに対応して『子どもファンドアドバイザー』を置き、活動を支援しているほか、町内会の皆さんまちづくりに携わる団体、メディア、企業など様々な団体・個人ができるところで支援している。このように市民・市役所・企業などが連携した支援の輪が子どもたちの生き生きとした参加を促している。

19. プロジェクトの結果(出来れば数値)

①こどもと地域住民の交流を契機とした地域活動の活性化
少子化・高齢化や地域住民との関係が希薄化している現代社会において,子どもたちが直接行うまちづくり活動は,世代をまたいだつながりとなり,地域住民との交流が生まれるともに,将来の日本を支える子どもたちが社会参画することで,自分たちでまちをつくる,支えているという意識を子どもの頃から育成することができ,将来,地域を担うことにより地域の活性化とともに,繋がりの希薄化の解消を期待できる。
②子どもたちのまちづくりのアイデアの多様性を活かした取組と子ども達の成長
「こうちこどもファンド」における子どもたちのまちづくり活動の発想については,まだまだ「子どもが全て考える」ということが難しい面もあるが,実際の活動では子どもたち自身が活発に取り組む姿を見ることができ,また,少しずつ活動に対する支援の輪の広がりを感じることができた。
「こうちこどもファンド」での子どもたちの活動は様々で,その活動における今後の事業展開の可能性は多方面に及び、市の事業や企業活動,学校等関係機関との連携などまさに子どものアイデアにより多様で無限の可能性を秘めており、これを地域の活性化,子どもたちのまちづくりに繋げていく。

こうち子どもファンド事業報告書(https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/attachment/44570.pdf

20. プロジェクトによる地域の変化

①地域社会の支援と理解の進展
「こうちこどもファンド」の主体は子どもたちであるが,実際活動に伴い発生する費用は子どもたちだけでは工面できない部分もある。その部分に対し,本事業での「助成」を通じて活動支援する形となっているが,資金についても現在,企業等からの寄附で賄えている状況であり、地域の理解も進んできている。制度開始から4年目を迎え,現在,事業の周知は報道機関をはじめ,広報紙等で行うとともに,小中学校等で説明するなど一定浸透してきた。また,本市ホームページに加え,Facebookによる情報提供やこどもファンドのロゴを作成し,さらなる周知を行っている。
②子どもたちの柔軟な発想による事業の全市への展開
子どもたちが主体で行うまちづくり活動に行政や地域団体などの大人達が支援するという事業の仕組みは珍しく,子どもたちの柔軟で伸び伸びとしたアイデアは,新しく気付かされることもあり,新たな施策として事業展開に繋げることも可能である。
「こうちこどもファンド」による活動は,今後も持続・展開することができることから,大人たちが主体の「まちづくりファンド」においても実施可能であり,清掃活動等を行った団体が,本市が実施する河川一斉清掃事業に参加するなど関わりが生まれている。

21. プロジェクト遂行後も残る課題(未達成、見えてきた課題)

①子どもたちの活動に対する支援体制の充実
「こうちこどもファンド」は子どもたちが行うまちづくり活動を社会全体で支える仕組みで,官(高知市)だけでなく,子どもたちを支える周囲の大人や企業の関わりも重要となる。また,事業を継続して運営していくためには企業等からの賛同(寄附)も必要で,地域住民,行政,企業等の全ての社会資源を活用した取り組みがさらなる事業の発展に繋がる。「こうちこどもファンド」は子どもたちの自由なアイデアによるまちづくり活動を支援するものであり,活動が円滑に行うことができるよう体制づくりが必要である。
②「こうちこどもファンド」事業への多様な支援の検討 
「こうちこどもファンド」での活動内容は,福祉,環境,防災分野とさまざまで,子どもたちの純粋にまちをよくしたいというアイデアによるものと,すぐ身近で取り組みが可能な活動のため,効果が実感できる内容が多く,地域住民も一体となって関わることができる。また,支援についても,現金による直接の寄附とともに,企業と連携した「寄附付き商品」の販売による「こうちこどもファンド」のPRやこどもたちの活動に直接必要な資源を支給するといった直接支援も可能であり,今後多様な支援方法も検討していく。
③地域のサポーターや支援者の増大
 10年後,助成を受けた子どもたちや審査員を務めた子どもたちが,大人になった時に地域の活動に積極的に参加できる「人財」となる、また,「こうちこどもファンド」で活躍した子どもたちが大人になり,大人のサポーターとなって帰ってくれば,この事業を創設した意義と効果が実感できる。この事業をより長く継続するためには,地域のサポーターや,応援してくれる方を増やすことにより,行政と市民が協働のもとで,地域が一体となって取り組むことがさらなる発展に繋がるものと考えている。

22. 上記の課題を解決するさらなる展開(プロジェクト、フォローアップ)

①こども審査員等へのサポート体制の充実と顕彰制度の導入
活動団体に対しては「こどもファンドアドバイザー」による助言等,こども審査員に対しては「こども審査員サポーター」の配置といった直接支援体制をとり,公開審査会や活動発表会などの運営方法等においても意見を柔軟に取り入れることができるようにしている。こども審査員に対する新たな取り組みとして,過去に経験したこども審査員を集め,審査におけるアドバイスなど新しいこども審査員に引き継ぎ,交流を図る「こども審査員交流会」を実施し,こども審査員としての役割をこども同士で直接学ぶこととした。また,活動発表会においては,会場で応援に来てくれている子どもたちを含めた投票で特に優秀な団体を表彰する「ベストこどもファンド賞」を開催するなど,子どもたちのやる気,情熱を維持するような仕組みにも取り組んでいる。

23. 横展開を考えている人への助言、特に苦労した事

当事業は他市町村でも実施可能であり,各地域で積極的な施策展開を図ることにより新たな事業が生まれ,情報交換をおこなうことによりさらに充実した制度を構築することが可能となる。
現時点では,他地域への積極的な展開はおこなっていないが,他地域からの視察等に対して,当市のでは積極的に情報提供をおこなっている。

24. その他関連情報、資料

(未入力)