●コンセプト
多様かつ豊富な地域資源を最大限活用した浜松スタイルによる、「地産地消」・「地産外商」のビジネスモデルを通じて、地域内での資金・資源の循環や経済成長を実現させ、地方創生につなげる。
併せて、「持続可能な社会」、「環境に配慮した社会」、「強靭な社会」を実現する。
●取組内容
・地方創生プロジェクト第1弾(平成24年度~)
「エネルギーの地産地消・地産外商」として以下の3事業を推進。
<1>地域資源を用いた再生可能エネルギーの導入推進
<2>エネルギー利用の最適化・省エネ化によるエネルギーの地産地消と自給率向上
<3>新たなエネルギー関連ビジネスの地産地消・地産外商
・地方創生プロジェクト第2弾(平成27年度~)
「天竜材の地産地消・地産外商」として以下の3事業を推進。
<1>世界基準による持続可能かつ適切な森林管理(FSC森林認証)
<2>“森林整備から木材利用の時代へ”の変革に合わせた天竜材の地産外商
<3>木材流通に関わる川上から川下までが連携した天竜材の地産地消
①豊富な地域資源
本市は、全国トップクラスの日照時間、市域の7割を占める森林資源、7,500もの大小様々な河川、強い季節風の“遠州のからっ風”など、多様で豊富な地域資源に恵まれている。
②人口減少対策
市の人口は2008 年をピークに減少に転じ、現在の出生率や人口移動率などがこのまま続けば、本格的な超高齢社会への突入とともに、人口減少が加速していくと予想。
人口減少を食い止めるには、現役世代を本市に呼び込み、合わせて、市民が持続可能で安定した生活が送れる社会を構築することが急務。
③防災・減災対策を通じた災害に強い強靭なまちづくり
南海トラフ巨大地震や近年の異常気象による洪水や土砂災害への対応も課題であり、防災・減災対策を通じた、災害に強い強靭なまちづくりが求められている。
④主体的な環境対策の実施
全世界共通の課題として環境への配慮が求められている中、特に、地球温暖化対策としての「パリ協定」や、生物多様性に関わる「名古屋議定書」などを国に任せるのではなく、浜松市として具体的な対策を講じていく必要。
本市としては、こうした課題を解決すべく、地域資源を活用した様々な政策的アプローチから、現役世代が魅力を感じる「しごと」・「事業環境」の創出や、老若男女が安心・安全に暮らせる「まちづくり」を行うことで、「地方創生」と「持続可能な社会」、「環境に配慮した社会」、「強靭な社会」の実現につなげていくため、エネルギーと地元木材をテーマとした「地産地消」「地産外商」の取り組みを開始した。
多様かつ豊富な地域資源を最大限活用した浜松スタイルによる、「地産地消」・「地産外商」のビジネスモデルを通じて、地域内での資金・資源の循環や経済成長を実現させ、地方創生につなげる。合わせて、「持続可能な社会」、「環境に配慮した社会」、「強靭な社会」を実現する。
・12市町村合併により市域面積が拡大
・人口減少社会に対応した社会システムの構築の必要性
・防災・減災対策を通じた災害に強い強靭なまちづくりの必要性
・「パリ協定」や「名古屋議定書」など主体的な環境対策の必要性
特になし
特になし
①補助金
・経済産業省「次世代エネルギーパーク計画」認定(平成24年10月)
・バイオマス産業都市の認定(平成26年3月)
・環境省「再生可能エネルギー等導入推進基金事業」採択(平成25~27年度)
②事業者との連携による補助金採択実績
・林野庁「木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業」採択(平成25年度)
・環境省「グリーンプラン・パートナーシップ事業」採択(平成26年度)
・経済産業省「地産地省型再生可能エネルギー面的利用当推進事業費補助金」3件採択(平成27年度)
・経済産業省「省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業」採択(平成28年度)
・林野庁「地域材利活用倍増戦略プロジェクト事業」採択(平成26年度)
・林野庁「新たな木材需要創出総合プロジェクト事業」採択(平成27年度)
(未入力)
(1)エネルギーの地産地消・地産外商
太陽光を始めとした再生可能エネルギー資源
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
天竜スギ、天竜ヒノキ
(1)エネルギーの地産地消・地産外商
電機メーカー、建設事業者、エネルギー関連機器販売業者、金融機関、大学等
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
森林組合、製材事業者、木材流通事業者、建設・設計事業者等
(1)エネルギーの地産地消・地産外商
再生可能エネルギー等の積極的な導入に向けた金融機関等との連携
スマート関連ビジネスの創出に向けた企業・金融・大学等との連携
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
持続可能かつ適切な森林管理に向けた森林組合等との連携
地元木材の安定供給体制の確立に向けた中小製材事業者間の連携
地元木材の地産地消に向けた、業界を超えた多様な事業者間の連携
本市では、地方創生プロジェクト第1弾として、平成24年度から「エネルギーの地産地消・地産外商」に関する取り組みを開始。さらに、この取り組みにより得られたノウハウや経験を活かして、第2弾として、平成27年度から「地元木材の地産地消・地産外商」の取り組みを開始した。
(1)エネルギーの地産地消・地産外商
地方創生プロジェクト第1弾として、平成24年4月に、市長直轄の組織である新エネルギー推進事業本部を設置し、「エネルギーの地産地消・地産外商」を開始。
本プロジェクトでは、大きく以下の3つの事業を推進
①地域資源を用いた再生可能エネルギーの導入推進
再生可能エネルギーの中でも、特に、全国トップクラスの日照時間を活かした太陽光発電の普及拡大に最も力を入れ、相談窓口の開設や規制の緩和等を進めた結果、太陽光発電の導入量(274,837kW)、事業用太陽光発電(10kW以上)の導入件数(5,214件)ともに全国1,741市区町村の中で1位を獲得。
太陽光発電以外にも、「浜松市バイオマス産業都市構想」を策定してバイオマス発電に取り組む事業者を支援したり、小水力発電の開発の過程で利害関係者との調整を支援したりするなど、ニーズに応じたきめ細やかな支援を実施。
②エネルギー利用の最適化・省エネ化によるエネルギーの地産地消と自給率の向上
市内で作られた再生可能エネルギー電力を市内の需要家が使える仕組みを構築するため、平成27年10月に、政令指定都市としては初めて、地域PPS「㈱浜松新電力」を立ち上げた。
同社では、市内の再生可能エネルギーにより発電した電力を買い取り、市民や企業、公共施設へと販売することで、“電力の地産地消”を実現。
今後は、地域に根差した総合エネルギーサービス会社「浜松版シュタットベルケ」として、電力販売のみならず、市内の電力消費の約7割を占める地域事業者の省エネ化を支援するなど、エネルギー関連の多様なサービスの提供を目指していく。
③新たなエネルギー関連ビジネスの地産地消・地産外商
市内外の産・学・官・金が一体となって、新たなエネルギー関連ビジネスの創出や“エネルギーに対する不安のない強靭で低炭素なまち”である「浜松版スマートシティ」を実現させるための推進組織として「浜松市スマートシティ推進協議会」を平成27年6月に発足。
平成28年6月の時点で103の事業者等が参画し、勉強会や会員間マッチング、プロジェクト提案などを行っているほか、プロジェクト化の可能性がありそうな案件については、会員自らが国庫補助等を利用して事業可能性調査を行うなど、公共事業や自治体の 補助金に依存しないビジネスの創出を目指している。
今後は、国土縮図型都市と呼ばれる本市をフィールドに、地域特性に合わせた先進的かつ持続可能なエネルギー関連ビジネスを実現させ、確立したビジネスモデルを市外、さらには海外へと売り込んでいく。
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
地方創生プロジェクト第2弾として、平成27年7月、新たに林業振興課を設置し、「天竜材の地産地消・地産外商」を本格的に開始。
本プロジェクトでは、大きく以下の3つの事業を推進
①世界基準による持続可能かつ適切な森林管理(FSC○R森林認証)
平成22年3月、地元6森林組合などとともに「天竜林材業振興協議会森林認証部会」を組織し、平成22年3月にFSC森林認証 を取得した。
森林認証面積は年々拡大し、現在は、市町村別取得面積全国第1位の約43,500ha(市域森林面積の約40%)に達する。
本市は、今後も、国際的な森林認証制度であるFSCの厳しいルールに基づき、持続可能かつ適切に森林を管理していく。
②“森林整備から木材利用の時代”への変革に合わせた天竜材の地産外商
木材利用を拡大していく上で課題として挙げられることは安定供給である。
大きな木材会社が立地しない本市では、中小製材事業者15社が連携して天竜材の安定供給体制を確立し、農林水産大臣賞を受賞した県立の体育館に大量の高品質木材を供給した。この安定供給体制は、現在、森林組合等も加え20社・団体が参画する「天竜材水平連携協議会」として組織化した。
本市は、今後もこの浜松モデルを武器に、東京オリ・パラ施設への木材供給や海外輸出など、天竜材の地産外商に極的に取り組んでいく。
③木材流通に関わる川上から川下までが連携した天竜材の地産地消
平成28年6月、地元木材の地産地消を推進するため、官民連携組織「浜松地域FSC・CLT利活用推進協議会」を設立した。
本協議会には、木材の供給サイド(林業事業体・木材関連事業者)と利用サイド(建設・設計事業者)、大規模木造・木質物件の発注者でもある行政や、個人・企業を問わず建築物の資金需要を支援する金融機関など115社・団体が参画している。
本協議会では、住宅はもとより、事務所や店舗等の非住宅物件での木材利用を拡大していくため、3つの専門部会に分かれてビジネスモデルの検討等を行っている。
平成24年度から新エネルギー推進事業本部を設置し、エネルギーの地産地消・地産外商の取り組みを開始。
平成27年度から林業振興課を設置し、地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商の取り組みを開始。
平成29年度以降も実施体制を一層充実・強化するなど、両プロジェクトを推進していく。
以下は、民間資金を除いた浜松市予算
(1)エネルギーの地産地消・地産外商
平成27年度 1,753,450千円
平成28年度 1,251,868千円
平成29年度 1,053,092千円
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
平成27年度 5,412千円
平成28年度 12,184千円
平成29年度 17,697千円
特になし
(1)エネルギーの地産地消・地産外商
①株式会社浜松新電力
市内で作られた再生可能エネルギー電力を、市内需要家が使える仕組みを構築することを目的に、地元の企業・金融機関、電力販売のノウハウを有する大手企業、市による共同出資により平成27年10月に設立した地域PPS。
② 浜松市スマートシティ推進協議会
電機メーカーや建設業者、金融機関など様々な業種、業態の事業者103社で構成する新たなエネルギー関連ビジネスの創出を目的とした組織。
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
①天竜林材業振興協議会森林認証部会
市と地元6森林組合等11団体で構成するFSC森林認証の維持・拡大を目的とした組織。
②天竜材水平連携協議会
地元3森林組合と製材材業者等で20社・団体で構成する地元木材の安定供給を目的とした組織。
③浜松地域FSC・CLT利活用推進協議会
木材の供給サイド(林業事業体・木材関連事業者)や利用サイド(建設・設計事業者)、行政、金融機関など115社・団体で構成する地元木材の地産地消を目的とした組織。
「浜松スタイル」の推進
目的に応じて業種や業態を超えた地域内外の様々な事業者が参画・連携し、地域資源を活用した新たなビジネスを創出することで地方創生につなげていく「浜松スタイル」を推進。
②市のリーダーシップ、トータルマネジメント
市が強いリーダーシップを発揮し、民間事業者の利益を都市の利益(=地方創生)につなげるよう、ステークホルダー間調整をはじめとするトータルマネジメントを実施。
③民間事業者主体のビジネス創出
それぞれのプロジェクトにおいて、中核となる事業者が地域内外の様々な事業者と連携し、ビジネスへとつなげていく仕組みを構築。
①持続可能な社会の実現(人口減少社会への対応)
太陽光発電の設置に延べ1,124人、森林組合の新規就業者として38人の雇用を創出。
②強靭な社会の実現(防災・減災対策)
避難場所へのエネルギー供給や、森林整備による災害の抑制などにより、都市の強靭化が図られている。
③環境に配慮した社会の実現(環境への配慮)
再エネの導入や、森林整備を行うことによる、二酸化炭素の排出削減や吸収源確保により、年間約50万トン分の地球温暖化対策に繋げることができている。
〔個別プロジェクトの成果〕
(1)エネルギーの地産地消・地産外商
①浜松市エネルギービジョンにおけるエネルギー自給率の目標と実績
再生可能エネルギー導入と省エネルギー化の積極的な推進により、当初の目標を上回るエネルギー自給率(H27年度末の目標値8.7%に対して、実績値10.0%)を実現。
②地域資源を用いた再生可能エネルギーの導入推進
太陽光発電の導入量(274,837kW)、事業用太陽光発電(10kW以上)の導入件数(5,214件)ともに全国1,741市区町村の中で1位を獲得。(数字は平成28年3月現在)
市内に立地する5,000件以上の事業用太陽光発電の約9割が、市民や地元事業者が「発電事業者」となって設置・運営。
③株式会社浜松新電力の設立
平成27年10月に設立した株式会社浜松新電力では、市内の太陽光発電や清掃工場などの再生可能エネルギー源から16,000kWの電力を調達し、学校などの公共施設を中心に180施設に供給している。
また、同社では経産省「省エネルギー相談地域プラットフォーム構築事業」の採択を受けるなど、地域企業の省エネ化にも力を入れており、地域に根差した総合エネルギーサービス会社「浜松版シュタットベルケ」を目指した取り組みを進めている。
④新たなビジネスの創出に向けた官民連携体制の構築
国土縮図型都市と呼ばれる本市をフィールドに、経済性を重視したプロジェクトを、民間事業者が主体となって創出することを目的に設立した「浜松市スマートシティ推進協議会」では、従来型のスマート関連プロジェクトの課題であった公共事業・補助金依存の体質を克服した、地域条件に合わせた多種多様な形の持続可能なプロジェクト・ビジネスモデルの創出に向けた具体的な調査、研究が進められている。
⑤再生可能エネルギー導入に関わる雇用の増加
導入量、導入件数日本一を達成した太陽光発電は、地域の雇用創出としても大きな成果を挙げている。経済産業省「平成23年度エネルギー環境総合戦略調査(エネルギーの経済・雇用等への影響)」における太陽光発電の雇用者数の推計結果をもとに計算すると、本市における太陽光発電の建設等による雇用者総数は、延べ1,124人となる
⑥再生可能エネルギーによる二酸化炭素排出抑制。
発電時に二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーを活用することで、一般電気事業者から供給される電力に比べて年間約16万トン(浜松市調べ)もの二酸化炭素排出を抑制することができている。
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
①FSC森林認証取得面積全国第1位
現在の認証取得面積は約43,500ha(市域森林面積の約40%)であり、市町村別取得面積全国第1位を誇る。
FSC認証林から生産された木材を取扱う事業者(COC認証取得事業者)は約60社であり、この数も市町村別では全国トップクラス
②木材の安定供給体制の構築
ライバル関係にあった地元中小製材業者15社が連携し、大規模木造建築物である静岡県草薙総合運動場体育館に高品質な天竜材を製品ベースで840㎥供給した。
15社の連携は、現在20社・団体が参画する「天竜材水平連携協議会」として組織化した。この組織は、大型木材会社が立地しない地域の木材の安定供給体制のモデルとなり得る
③木材利用推進等の機運の高まり
住宅はもとより事務所や店舗等の非住宅物件での地元木材の地産地消を推進するために設立した「浜松地域FSC・CLT利活用推進協議会」を通じて、FSC森林認証制度の理解やCLTに関する設計技術、地域における木材利用推進の機運が高まった。
多様なプレイヤーが参画する本協議会は、木材利用の拡大を進める他地域のモデルとなり得る。
④新規林業従事者の確保
林業従事者の高齢化が問題になっている中、直近3年(H25-27)で38人の新規林業従事者を雇用した。そのうちの10人はIターン就職者。
⑤森林吸収源対策
適切な森林整備・管理を通じて、本市の森林は、平成27年時点で市内の普通自動車が年間に排出する二酸化炭素量(約30万トン)を超える年間約32万トン(浜松市調べ)の二酸化炭素を吸収することができている。
(1)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
①再生可能エネルギー導入に対する地域理解の向上
本市や「浜松市ソーラーセンター」が行った再生可能エネルギー発電事業に対するワンストップ支援や指導、人材育成等を通じて、発電事業者及び施工事業者のノウハウの蓄積が図られ、建設トラブルの防止や地域との共生等につながり、安定的、継続的な発電事業を行うことができている。
②エネルギーと資金の地域内循環を実現
株式会社浜松新電力による、市内で発電した電力を市内の需要家が利用する「電力の地産地消」の仕組みを構築したことで、市外に流出していた資金(電気代)や資源(再生可能エネルギーによる電力)を地域内で持続的に循環させることが可能になり、市外の経済要因からの影響を受けにくい、エネルギーに対する不安のない安心・安全な暮らしを提供することができている。
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
①素材生産量の増加に伴う安定的な林業経営
平成23年度から毎年、前年を上回る素材生産量(市内の森林から生産された木材量)並びにFSC認証材生産量(市内のFSC森林認証林から生産された木材量)を達成することができ、安定的、継続的に林業活動を行うことができている。
②森林の持つ多面的機能の維持
適切な森林整備・管理等を通じて、ここ数年は深刻な取水制限をすることなく、平時の飲料水等を市域内で確保することができている。
また、森林散策をはじめ多くの市民に森林を活用したレクリエーション機会を提供することができている。
さらに、災害面では、近年、大規模な森林災害の発生はなく、中山間地域の市民に安心・安全な暮らしを提供することができている。
エネルギー及び地元の木材の「地産地消」・「地産外商」の取り組みを通じて、地域の課題である地方創生と「持続可能な社会」・「強靭な社会」・「環境に配慮した社会」の実現については一定の成果が見られるものの、両プロジェクトにおいては以下の課題があり、その対応が求められている。
(1)エネルギーの地産地消・地産外商
①太陽光発電以外の再生可能エネルギーの導入
再生可能エネルギーのうち太陽光発電については導入日本一を達成するなど目覚ましい成果を挙げているが、それ以外の再生可能エネルギーについては、様々な事業者による事業化が検討されているものの導入には至っていない。
この点については、事業障壁となる規制の緩和や国庫補助の獲得支援、利害関係者や地元との調整支援など、市が積極的に関与し、事業者の取り組みを支援していく。
②新たなエネルギー関連ビジネスモデルの確立
「浜松市スマートシティ推進協議会」では設立以来、勉強会や会員間マッチング、プロジェクト提案などにより様々なビジネスモデルの提案、研究が進められているが、今後はより具体的な調査や実証実験などに取り組んでいく必要がある。
こうした課題に対しては、市内の特徴的な地域を実証フィールドとして決め、会員企業とともに国庫補助事業に手を挙げていくなど、市が強いリーダーシップを発揮しながらプロジェクトを推進し、ビジネスモデルの確立を支援していく。
(2)地元木材(天竜材)の地産地消・地産外商
①持続可能かつ適切な森林管理
森林整備や地元木材の利用拡大についての市民理解度は高まりつつあるものの、FSC森林認証制度に対する市民の理解度が低いことが課題。
この点については、本プロジェクトに参加するプレイヤーが官民を挙げて克服していくこととしている。
②天竜材の地産外商・地産地消
地域内外での木材利用を拡大していくためには、木材供給サイド(森林組合、製材・加工、木材流通等)の生産性向上(低コスト化)・安定供給体制・価格競争力の一層の強化が必要。一方、木材利用サイド(建設・設計等)においては、木造・木質化に関する技術力(設計技術、建設技術等)を強化していくことが必要。さらには、施主・使用者となるエンドユーザーの開拓も必要。
こうした課題に対しては、本プロジェクトに参加するプレイヤーがそれぞれ自覚し、その克服に向けて取り組んでいるところである。行政は、こうしたプレイヤーの取り組みを継続的に支援していく。
さらに、地方創生と3つの社会の実現に向けたは、第3弾、第4弾と地域資源を活用した「地産地消」・「地産外商」のプロジェクトを推進していくことが必要。
先行する2つのプロジェクトについての課題及び今後の展開については、前記のとおりであるが、本市としては、これまでの経験を基に、第3弾の地方創生プロジェクトとして、「浜松・浜名湖地域 食農プロジェクト」を平成29年度から実施する。
本プロジェクトは、“うなぎ”を代表とする本市の食文化と多様な農林水産業に着目し、農水産品の地産地消・地産外商や本市へのインバウンドの増加を目的に食のイベントや体験型ツーリズム等を展開していく。
本市の取り組みは、市長の強いリーダーシップと民間企業・団体との連携により推進しているものである。これらの条件が揃えば、国内の他地域でも展開が可能である。
本市の取り組みについては、既に多くの自治体等が視察に訪れていただいたり、各種講演会の機会を通じて、ノウハウ等の提供を行っているところである。参考にされたい自治体や企業の皆さんにおいては、いつでもご連絡をいただければと思います。
(未入力)