1. プロジェクト名
正興電機製作所グループにおける健康社員・家族育成の取組み (株式会社正興電機製作所)

2. 概要

プラチナ構想に強い共感を受け、当社の健康経営に関する取組みはスタートしました。
「健康社員の育成を通して、元気な家族、元気な高齢者、元気な地域創りに貢献します。」がコンセプトです。健康社員づくりと地域や他企業へのビジネス展開を目標に活動を開始しました。

①社員の健康意識を高めるため、健康関連データの見える化など実践的ツール開発
健康関連データ収集、見える化、保健SNSなどツールを開発し運用しています。社員食堂での自動摂取カロリー記録や、運動・バイタル記録、直近ではウェアラブル端末を全社員に配布し更なる普及を図っています。

②大学や医療機関と協働した正しい健康づくり
大学疫学研究室や予防に関心の高い医療機関等共同研究により、ツール開発や実証実験にてエビデンスを確保しています。

③オープン環境での健康づくりアプリの提供
楽しく運動できるスマホアプリや、虚弱予防の高齢者向けシリアスゲームの提供を行っています。任意のベンダー開発のコンテンツをアドオンできるプラットフォームです。

④健康経営プロジェクト発足、ご家族も対象に!
中期3カ年、2016年目標を設定しPDCA活動に入ってます。ご家族に対してもツールの利用を促し健診受診フォロー等も行います。禁煙には根強い反抗もありますが啓蒙を続けています。

⑤ビジネス展開
クラウド型健康経営ソリューションを展開中です。自治体への提案、健康経営に関心を持つ企業や産業医常駐の大企業への提案を行っており実績を上げつつあります。

3. プロジェクトを企画した理由・課題(状況)

①医療費問題
高騰を続ける医療費問題は既に危機的な状況に陥っている。健康寿命の延伸がその唯一の解決策だが、これには現役世代からの生活習慣改善を中心に早期健康改善活動が必要。
この理解は高まりつつあるものの、その現役世代の対象者にはその緊張感を伝えきれてない中、健康経営と称する企業経営者に向け健康社員育成の価値醸成が必要。

②健康経営にかかる事業展開をスタート
プラチナ構想に強い共感を受けたことから、健康経営への取組み、そしてこれをサポートするツール創り、そのツールを含めた事業展開をスタート。
3つの進め方で健康寿命延伸、強いては、国の課題である医療費の適正化に貢献する。
1)有識者と健康社員育成に有効な手法に関する共同研究の遂行
2)その成果を当社の健康経営に活用
3)開発した健康社員育成ツールと運用ノウハウを外部展開

4. プロジェクトの達成目標

コンセプトは、「健康社員の育成を通して、元気な家族、元気な高齢者、元気な地域創りに貢献します。」。
健康社員づくりと地域や他企業へのビジネス展開を目標に活動を開始。

5. プロジェクト実行に関連した政策(有れば)

健康経営普及に向け、経産省では上場企業を対象にした健康経営銘柄、大企業、中小企業に向けても健康経営優良企業認定制度の実施や、地域協議会と連携したセミナー等開催による気運の盛り上げ活動が堅調。

6. プロジェクト実行に関連した規制(有れば)

健康経営をサポートするためのヘルスケアクラウドシステムを開発。各社員の健康関連データを管理する為、ISO27001は既に取得済、運用中であったが、さらに各省から提示されているセキュリティ関連のガイドラインに準拠するべく見直し、取組みを実施中。

7. 上記規制をどう解決、回避したか

データセンタ設備など物理的な課題は順次対応。運用面でもサービス品質の更なる向上に向け適宜点検、見直し、社員への周知徹底を図っている。

8. プロジェクトに対する国、県の補助金・支援政策(具体的な補助金事業名、年度、金額)

・2016年度 福岡県先導的Rubyソフトウェア開発支援事業採択
虚弱予防、早期復帰、体質改善を必要とするご家族(高齢者)のリハビリ・介護分野でのシリアスゲーム開発

9. 補助金に対する報告書のファイル

10. プロジェクトに投入、活用した地域資源、地域人材

・ヘルスケアクラウドシステム開発・運用のため当社リソースを活用
資金、IDC・サーバ環境、開発・運用体力

11. プロジェクト推進の協力者、協力団体(商工会議所、NPOなど)

①一般社団法人、公益財団法人の健診機関
・健診データの見える化に関する協力
・非対面保健指導による生活習慣改善実証研究

②ウェアラブル機器メーカー
・活動量見える化に関する協力

③ゲーム開発のベンチャー、組込系ソフトウエア開発のベンチャー
・健康運動をサポートするコンテンツ開発における協働

12. プロジェクト推進の産学連携や技術(有れば)

①九州大学 キャンパスライフ・健康支援センター
・健康関連データ収集、見える化、SNSの機能性と非対面保健指導、行動変容に関する研究

②九州大学大学院芸術工学研究院、福岡県内医療機関
・虚弱予防、体質改善等をサポートする介護・リハビリ分野のコンテンツ(シリアスゲーム)開発

③産業医科大学 産業生態科学研究所、10分ランチフィットネス協会
・社内、昼休みの運動と効果検証

④九州ヘルスケア産業推進協議会、九州経済産業局
・セミナー実施等のプレゼンテーション支援

13. プロジェクトを構成するプログラム(プロジェクトで実施した行動)

①健康社員育成
 2013年より着手。ツール(健康関連データ収集、見える化、保健SNS)、コンテンツ(10分ランチフィットネス、スマホアプリ)を活用し、かつ、エビデンスに基づいた運用により健康社員の育成を計る。中期3ヶ年の目標として以下5項目の目標を設定。
ⅰ)全社員の行動変容ステージ1アップを計る。
ⅱ)メンタル不調による長期欠勤者を0に近づける。
ⅲ)屋内喫煙可能場所撤去、禁煙タイムの徹底から始め、近い将来には喫煙者を0に近づける。
ⅳ)糖尿病予防、重症化予防を念頭に健診データの糖代謝及び、メタボ異常なし率を20%改善。
ⅴ)生活習慣病による通院回数及び、医療費を2割削減。

《ツール》
九州大学基幹教育院健康・運動疫学研究室との共同研究から自社開発ツール。運用・実証研究を通して改良継続中。健康関連データの収集、変化の見える化、生活習慣改善記録、保健SNSの機能を提供。
10分ランチフィットネス協会が提供するリアルな運動コンテンツ、自社開発の楽しく運動スマホアプリ、2016年には九州大学大学院芸術工学研究院及び福岡県内医療機関との共同研究で介護・リハビリサポートのシリアスゲーム開発。

②健康家族の育成
 当社の健康経営は、社員だけではなく家族の健康育成も視野に入れており、ツール及び、コンテンツは家族も参加、利用できるよう整備。例えば今日のお父さんの体重・血圧、食事内容等チェックし、フォローメッセージを家族に送る等が可能。社員が家族を同様にフォローすることも可能。
ⅰ)一次健診受診率100%を目標。(対象は社員とそのご家族)
ⅱ)高齢者向けに虚弱を予防する介護・リハビリ向けのシリアスゲームを開発、提供。
ⅲ)家族の利用促進⇒地域への展開⇒元気な地域、元気な高齢者育成に昇華させる。

③ビジネス展開
ⅰ)ツール、コンテンツを健康経営に関心がある企業に提供し、運用を支援。
ⅱ)健康社員育成のアプリプラットフォーム、虚弱予防のシリアスゲームプラットフォームとして、コンテンツ開発ベンダーを広く募り、健康コンテンツビジネスに展開。

14. スケジュール(行程表)

2013年 プラチナ構想への共感
・当社流健康(シルバー) IT(ゴールド)社会貢献モデル検討開始
・背景整理(国の医療費問題、地域の健康・福祉課題、当社の健康傾向)
・九州大学基幹教育院健康・運動疫学研究室と共同研究開始(いつからでも始められる生活習慣改善)

2014年 健康経営、健康社員育成モデル検討・開発
・社員の健康育成に着手(社員向けに健康関連データ収集と見える化機能、保健SNS機能提供)
・九州ヘルスケア産業推進協議会参加(第1回ヘルスケア産業づくり貢献大賞奨励賞受賞)

2015年健康経営、健康社員育成、実証活動
・運動コンテンツの提供(デジタル、リアル) (楽しく運動サポートのスマホアプリ、
 お昼休みの10分ランチフィットネス(産業医科大学アクティブレスト共同研究))

2016年健康経営、健康社員育成、実証活動
・健康経営PJ発足
・3カ年目標、2016年目標設定と健康経営宣言公開
・共同研究継続、サポートコンテンツの拡充

2017年健康社員育成実証活動、本格ビジネス展開
・コンテンツ拡充と展開(企業向け、自治体向け、介護施設向け)

15. プロジェクト予算(年度ごとの金額、あれば予算書)

(非公開)

16. プロジェクト遂行で調達した専門人材(エンジニア、デザイナー、知財関係など)

①保健師(実証研究期間中)
②クリエーター、アニメーションデザイナー(シリアスゲーム開発時)
③疫学研究、運動研究に関する有識者(大学の研究員)

17. プロジェクト推進・運用組織(あれば組織図)
18. プロジェクトの成功要件(要因できるだけ多く)

健康経営に向けては、
① 経営幹部のしっかりとした価値共有
② 任意職場単位に健康コーディネータを選定。意識・動機づけをしっかり行い、活動戦略・戦術策定、実行フォローを行うこと。

ビジネス展開に向けては、
① エビデンスの積み上げ
② 質より量的な営業(行脚)活動
③ 自治体、企業、介護施設に向けた、それぞれ課題・特性にマッチしたモデル創造と展開

19. プロジェクトの結果(出来れば数値)

①社員の健康意識を高めるため、健康関連データの見える化など実践的ツール開発
健康関連データ収集、見える化、保健SNSなどツールを開発、運用。社員食堂での自動摂取カロリー記録や、運動・バイタル記録、直近ではウェアラブル端末を全社員に配布し更なる普及を図る。

②大学や医療機関と協働した正しい健康づくり
大学疫学研究室や予防に関心の高い医療機関等共同研究により、ツール開発や実証実験にてエビデンスを確保。

③オープン環境での健康づくりアプリの提供
楽しく運動できるスマホアプリや、虚弱予防の高齢者向けシリアスゲームを提供。任意のベンダー開発のコンテンツをアドオンできるプラットフォーム。

④健康経営プロジェクト発足、ご家族も対象に!
中期3カ年、2016年目標を設定しPDCA活動実施。家族に対してもツールの利用を促し健診受診フォロー等を実施。禁煙には根強い反抗もあるが啓蒙を継続。

⑤ビジネス展開
 クラウド型健康経営ソリューションを展開中。自治体への提案、健康経営に関心を持つ企業や産業医常駐の大企業への提案を行っており実績を上げつつある。

20. プロジェクトによる地域の変化

(今後の活動テーマの1つでもある)
各自治体に向け、地域特性を活かした健康ポイント事業モデルを検討・提案

21. プロジェクト遂行後も残る課題(未達成、見えてきた課題)

①サポートコンテンツや、コンテンツプラットフォームビジネスとしての価値形成
2015年より外販を開始しているが、本格的なビジネス市場になるまでには時間を要する実感もある。健康経営、健康社員育成の価値観を持つ企業への販売を中心にマーケティング活動を実施。

②自治体への提案モデルの検討 
今後は、自治体への提案モデル(地域企業や地域住民での活用)を検討。

22. 上記の課題を解決するさらなる展開(プロジェクト、フォローアップ)

単なるPHR的な機能から、
企業に向けては、個人の健康関連データを(安心・安全の)業務にも利用するコンテンツ、自治体に向けては、地域の特性にマッチして生活習慣改善をサポートするコンテンツ、高齢者向け施設に向けては、楽しく運動をサポートするコンテンツの具現化と、実証、普及活動を推進。

23. 横展開を考えている人への助言、特に苦労した事

産官学の連携が非常に重要。
(シーズの具現化と商品化、ニーズの具現化とマッチング)

24. その他関連情報、資料

レセプトデータを適宜分析し、生活習慣改善の実行状況や健診データとの関係性を確認し、健康社員育成のPDCAを回していきたく思うが、依然、レセプトデータの提供は、匿名性担保のうえでも、拒否される状況が続いている。