1. プロジェクト名
人と人が絆でつながる「スマートシティさいたまモデル」~公民+学連携のまちづくり~ (埼玉県さいたま市)

2. 概要

・さいたま市の東南部、都心25km圏の郊外に位置する「美園地区」は、2001年3月開業の埼玉高速鉄道線「浦和美園駅」を中心に、市の副都心の一つとして大規模な新市街地形成の進むエリアである。2001年10月開場の埼玉スタジアム2002公園(以下、「埼スタ」という)も囲みながら、総面積約320ha・計画人口約32,000人の土地区画整理事業(区域愛称:みそのウイングシティ)が2000年度に施行開始。2006年4月の先行街区の街開き以降、住宅・店舗等の建設や学校・公園等の整備も進み、子育て世代を中心に人口が急増している。本地区をフィールドに、綾瀬川・見沼田んぼ・埼スタ等の地域資源も活かしながら、市の目指すスマートシティのモデル地区としてIoT・AI等の先進技術を積極導入し、心豊かなライフスタイルとコミュニティを体現した、脱炭素・循環型地域社会を目指した新たなまちづくりが進んでいる。
・2015年10月に開設したまちづくり情報発信・活動連携拠点「アーバンデザインセンターみその(略称:UDCMi)」を起点に、「公民+学連携」の理念のもと、民間企業・大学・自治会連合会・区画整理事業関係者・行政を会員とする任意組織の運営を通じ、ハード・ソフトに亘り地域課題の解決に取組んでいる。
・埼スタを有する地区として世界に誇れる“スタジアムタウン”を実現すべく2020年を短期目標に、ウォーカビリティ向上を軸とした快適な市街地環境形成に向け、街並みデザイン誘導体制の構築や河川空間の高質整備・管理運営等を進める一方で、再生可能エネルギーの地産地消に向けたデジタルグリッド技術導入など、先進技術を取り入れた環境負荷低減にも取り組んでいる。
・地域のQOL向上のため、ICTを活用した子育て支援・マルチモビリティシェアリング・健康増進プログラム等の地域サービス事業を展開。各サービス運営を通じて得られるデータ等をエリア価値向上に向け有効利活用すべく、共通プラットフォームさいたま版の開発・運用実証も進めている。さらには、地域イベント事業や交流ワークショップ等も開催し、新市街地特有の課題であるシビックプライド醸成やコミュニティ形成促進にも取り組んでいる。
・各事業の成熟化・相互連携促進を図る中で、2016年7月に都市再生推進法人として指定を受け、事業収益をまちづくりに還元・再投資するサイクルの確立を目指している。

人と人が絆でつながる「スマートシティさいたまモデル」~公民+学連携のまちづくり~.pdf

3. プロジェクトを企画した理由・課題(状況)

・本プロジェクトは、エネルギー問題、人口減少、少子高齢化といった我が国の現代社会における課題から生まれる社会的なニーズを解決するとともに、我が国の重要な資産であるデータを利活用し、住民のQOL向上や新たな産業の創出を狙う取組であることから、これまでの時代にはないスピードで変化する社会的ニーズに対応していくため、さまざまな企業や大学、研究機関が、いわばエコシステムとして、最新の情報を共有するとともに、地域の声を吸い上げるまちづくり拠点施設「アーバンデザインセンターみその」を設置しており、地域社会を構成する主要分野を包含したプラットフォームの構築に向けて、常に、ニーズとシーズの変化に対応できる体制を構築している。
・課題認識としては、エネルギーの面からは、全世界的に、地球温暖化、気候変動といった環境問題から、SDGsやパリ協定など、脱炭素化に向けた「時代の大転換期」となっており、2016年のCOP21パリ協定を機に、世界においては、炭素税の引上げや排出量取引制度などのカーボンプライシングの導入が進み、日本企業においても、資源・発電事業を手掛ける商社が相次ぎ脱石炭を明確に示すなど、脱炭素化に向けた取組が急速に進んでいる。
・経済の面からは、環境、社会、ガバナンスの観点を重視して投資する「ESG投資」が急速に進展し、運用額は世界で約2500兆円を超えており、5年前の2倍以上に増加しており、仮に、中小の企業にまで求められた場合には、97%が中小企業であるさいたま市内の経済への影響は相当大きくなるものと考えている。
・グローバル企業は、10年前からこれらの気候変動を起因とした課題に対して取組んでおり、「ESG投資」とは、事業を継続していくためには必要不可欠な投資であり、脱炭素化をビジネスとして稼げる市場を創出していかなければならないと考えている。
・また、いわゆるGAFAにより、我が国の小売業界は大きなダメージを受けているが、市内の地域商店にも大きな影響が出ており、高齢化も相まって、個人商店の廃業が進んでおり、地域の活力が低下していることも本取組を進めていく背景となっている。

4. プロジェクトの達成目標

2020年を短期目標に、ウォーカビリティ向上を軸とした快適な市街地環境の形成。

5. プロジェクト実行に関連した政策(有れば)

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6. プロジェクト実行に関連した規制(有れば)

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7. 上記規制をどう解決、回避したか

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8. プロジェクトに対する国、県の補助金・支援政策(具体的な補助金事業名、年度、金額)

・総務省「戦略的情報通信研究開発推進事業(国際標準獲得型)~スマートシティ分野のICTに関する公募~」(平成28~30年度)【→スマートコミュニティサービス向け情報通信プラットフォームの研究開発プロジェクト】
・総務省「データ利活用型スマートシティ推進事業」(平成29年度)【→データ利活用型スマートシティさいたまモデル構築事業】
・経産省「平成29年度地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業費補助金(分散型エネルギーシステム構築支援事業のうち構想普及支援事業)」(平成29年度)【→浦和美園地区・地産地消型再生可能エネルギー活用マスタープラン策定事業】
・スポーツ庁「平成29年度地方スポーツ振興費補助金(スポーツによる地域活性化推進事業)」【→さいたま「多世代型」地域スポーツ事業】
・環境省「平成29年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」(平成29~31年度)【→電動バス普及拡大に繋がる電車回生電力を活用した超急速充電交通インフラの開発・実証】【→再エネ導入を加速するデジタルグリッドルータ(DGR)及び電力融通決済システムの開発・実
  証】
・国交省「さいたま市美園地区における良質な住宅ストック維持・向上促進事業」(平成29年度)【→さいたま市美園地区における良質な住宅ストック維持・向上促進事業】
・総務省「地域IoT実装推進事業」(平成30年度)【→世界初、他企業・自治体と協働して全国展開する共助子育て支援プラットフォーム「子育てシェア」】
・総務省「情報信託機能活用促進事業」(平成30年度)
 【→情報信託機能を活用した事業】
・国交省「平成30年度住宅ストック維持・向上促進事業(良質住宅ストック形成のための市場環境整備促進事業を実施する者に対する補助事業)」(平成30年度)【→さいたま市美園地区における良質な住宅ストック維持・向上促進事業】

9. 補助金に対する報告書のファイル

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10. プロジェクトに投入、活用した地域資源、地域人材

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11. プロジェクト推進の協力者、協力団体(商工会議所、NPOなど)

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12. プロジェクト推進の産学連携や技術(有れば)

民間企業・大学・研究機関、自治体がそれぞれの「強み」を活かし「公民+学」が強固に連携していく体制を構築している。

13. プロジェクトを構成するプログラム(プロジェクトで実施した行動)

・2015年から、市の副都心でありながら、大規模な新市街地形成が進むまち、いわば新たな挑戦がしやすいまちである「美園地区」において、「本市が理想とする都市の縮図」として、これまで取り組んできた「環境・エネルギー分野」を超え、住、食、医療、健康、交通、観光など、地域社会を構成する主要分野を包含したプラットフォーム「スマートシティさいたまモデル」の構築に着手している。
・この取組は、行政だけで実現できるものではないため、民間力の活用・連携に加えて、大学や研究所などの先進的な知見を積極的に取り入れる「公民+学」の連携組織となる「美園タウンマネジメント協会」を2015年8月に設立するとともに、住民や、地元企業、来街者と「つながる場所」として、まちづくり拠点施設「アーバンデザインセンターみその」も設置し、横断的な体制で「新たなまちづくり」に取り組んでいる。
・「美園タウンマネジメント協会」は、現在41団体が会員となっており、協会には「スマートシティさいたまモデル」の実現に必要な、部会・分科会を設置し、40を超えるソフト分野のプロジェクトを事務局である「一般社団法人美園タウンマネジメント」が取りまとめて進めている。
・ソフト分野だけではなく、まちづくりに必要な要素であるハード分野の検討・協議調整を行う「みその都市デザイン協議会」を立上げ、「一般社団法人美園タウンマネジメント」が、「ハード」と「ソフト」の両輪の軸となって取組を進めている。
・当プロジェクトの核は、VCRM機能を搭載した情報共通基盤「さいたま版共通プラットフォーム」である。
・「さいたま版共通プラットフォーム」は、情報銀行やパーソナルデータストアといった機能を保持するとともに、パーソナルデータ等を活用することで創出されるさまざまな総合生活支援サービスを、ワンストップで、一人一人のライフスタイルやライフステージに合った形で提供していくことを目指している。
・現在は、国の重要な資源である「パーソナルデータ」を利活用する「情報信託機能実証」に取組んでおり、今年度は、来年度以後の情報銀行設立を目指し、「ローカルでリアルなパーソナルデータの利活用実証」として、民間企業や大学と連携して、パーソナライズした新たなサービスの創出に向けた実証や、パーソナルデータの値付けに取り組むこととしている。
・情報信託機能は個人のデータを利活用する事業であることから、市民には、個人の情報が漏洩するのではないかといったリスクを感じ、安全なのか、安心できるのかという不安がある。
・「安全」は日々進化しているテクノロジーによって確保していくことが可能であるが、「安心」は気持ちの問題であることから、テクノロジーでは解決ができない分野である。そこで、特に、事業初期段階においては行政がしっかりと関与し、「安心」を提供していくことが重要であると考えている。
・また、ネット上の個人のデータは、いわゆるGAFAにより席巻されているが、本プロジェクトでは、ネットでは得られない「ローカルでリアルなパーソナルデータ」を活用していくことで、全てをオンラインで完結させるサービスよりも、一層パーソナライズされたサービスを提供していくことが可能であると考えている。
・美園タウンマネジメント協会の事業としては、ヘルスケア事業、地域通貨事業、キャッシュレス化、地域コミュニティの創出、子育て共助など住民のQOLを向上するさまざまな取組を網羅的に進めていることも特徴である。
・低炭素で災害に強く、コミュニティを育む「スマートホーム・コミュニティ」の整備や低炭素住宅とEV、FCV、省・創・蓄エネ機器をセットにした「レジリエンス住宅ローン」の開発、高断熱・高気密の地区基準である「HEAT20 G2さいたま市基準」、マルチモビリティシェアリング、宅配ロッカーの設置、住宅の管理履歴システムの開発といった脱炭素化・レジリエンス性の向上に資する取組みも進めている。
・スマートホーム・コミュニティの整備においては、2019年度、街区内の5軒とコンビニエンスストア、イオンモールにデジタルグリッドを導入し、系統に依存しない街区を整備し、再生可能エネルギーを最大限活用することで地域の脱炭素化を図るとともに、住民に安心を与える「災害時の電力の自立運営」の構築を「大手のデベロッパーではなく、市内、県内の中小の工務店、ハウスメーカーと連携」して取組んでいる。
・国内の住宅建設の70%は地元の工務店・ハウスメーカーが占めており、スマートホーム・コミュニティを美園地区だけではなく、市内全域、さらには全国に向けて展開していくには、大手ではなく、地元に根差した工務店・ハウスメーカーが展開できるモデルとすることが必須であるとの考えからである。
・スマートホーム・コミュニティ事業では、「共通プラットフォームさいたま版」と接続させスマートホーム・コミュニティ事業で導入する、デジタルグリッドルータ―やセンサーを通じて、家の中のさまざまなデータを収集できるようにすることで、この家の中のデータを「共通プラットフォームさいたま版」を通じて活用し、見守りサービスや健康サービス、エネルギー利用の最適化など、市民のQOLを向上させるさまざまなサービスの提供を目指している。
・このような取組を強力に推進し、我が国の優秀な技術、商品、サービスを「スマートシティ」という形でパッケージ化することで、国際的な競争力を高め、単なる価格競争ではなく、国内外への展開を図り、我が国の国力を高めていくことが、このプロジェクトに取り組む我々の使命でもあると考え、世界に通じる「スマートシティさいたまモデル」の実現を目指している。

14. スケジュール(行程表)

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15. プロジェクト予算(年度ごとの金額、あれば予算書)

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16. プロジェクト遂行で調達した専門人材(エンジニア、デザイナー、知財関係など)

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17. プロジェクト推進・運用組織(あれば組織図)

・まちづくりのソフト面を担う「美園タウンマネジメント協会」
・ハード面を担う「みその都市デザイン協議会」
・各種プロジェクトの全体コーディネートを行う「一般社団法人美園タウンマネジメント」
・情報発信機能を備え、地域のまちづくり推進拠点「アーバンデザインセンターみその(UDCMi)」

18. プロジェクトの成功要件(要因できるだけ多く)

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19. プロジェクトの結果(出来れば数値)

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20. プロジェクトによる地域の変化

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21. プロジェクト遂行後も残る課題(未達成、見えてきた課題)

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22. 上記の課題を解決するさらなる展開(プロジェクト、フォローアップ)

・本プロジェクトでは、市民生活を構成するあらゆる分野に取り組んでいることや、先進的な技術などを最大限活用していくため、今後も常に、社会動向、先進技術開発状況、法制度の改正など、あらゆる社会動向に注視するとともに、「公民+学」連携をより強固にしていくことで、常に先導的な取組となるよう進めていくこととしている。

23. 横展開を考えている人への助言、特に苦労した事

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24. その他関連情報、資料

・本プロジェクトは、事業設計段階から、他都市や他の企業・産業等の領域に普及・展開していくことを目指しており、システム、プラットフォームを可能な限り標準化していくこととし、最終的にはパッケージ型の「スマートシティさいたまモデル」として構築し、協会、協議会の参画企業等と連携して国内外へ展開することを目指している。
・既に、会津若松市との協定締結など、他都市との連携も進めているほか、さいたま市長が登壇する様々な場面で情報発信をしており、一昨年度は米国ワシントンで開催された「Global City Teams Challenge (GCTC) EXPO 2017」で発表し、アメリカの自治体のほか、アムステルダム、ジェノバ、釜山といった海外の自治体やアメリカ国立科学財団(NSF)、運輸省、エネルギー省、保健省といった連邦政府機関や、情報通信系企業などに対して情報発信している。