・人生の一大イベントである「おくやみ」に着目し、官民連携によりおくやみに向き合っている。
1.マイナンバーカードを活用し手続きの簡素化と一元的な相談を担うおくやみ窓口の設置
2.おくやみ窓口における資格確認でのRPA活用
3.官民連携したおくやみハンドブックの作製
4.企業と連携した終活ノートの作製
5.終活ノート記入に関するサポート体制の構築
・高齢者が生涯を通じた成長、社会参加の機会創造を実現していくことに比例して、昔では考えられなかった、携帯電話の保有、多種多様な金融資産、スポーツジムや習い事等の生涯学習等々、高齢者が持つ属性(情報)は多岐にわたることになる。
・一方で、社会構造の変化等で高齢化や核家族化が進んでおり、死亡した際に故人の情報を正確に把握できない遺族が増えているといった問題も浮き彫りになっている。
故人に関する情報の増とそれを把握する手段の不足という問題を解決することで、健康で安心して加齢できる社会、そしてこれまでの概念を超えた高齢者参画社会を実現することが可能となる。
・死亡に関する手続きについては、故人の情報がわからない中で、手続内容が官民合わせて広範囲であることから、漏らさず手続きを終わらせるのが困難、時間と労力がかかる、何をすればよいかわからない等の声は既に市民と接する市役所にも寄せられていた。
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マイナンバーカードを活用
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特になし
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取組① マイナンバーカードを活用し手続きの簡素化と一元的な相談を担うおくやみ窓口の設置
大切な方を亡くされたばかりの遺族の精神的・物理的負担を軽減するために、「おくやみ窓口」を設置し、市役所で必要な手続きを特定した上で、必要な申請書に必要事項等を記入した形で印刷するシステムを、大日本印刷株式会社との実証事業として構築した。申請書類にマイナンバーカードの情報を転記し、効率化を図る機能を実装している。カードを活用した「おくやみ窓口」の設置は日本初である。
取組② おくやみ窓口における資格確認でのRPA活用
RPAを活用して、故人の情報をおくやみ窓口で簡易かつ迅速に確認できる仕組みを構築。
取組③ 官民連携したおくやみハンドブックの作製
また、おくやみ窓口にいらっしゃる前段として、死亡届を出された際に、葬儀社を通じて遺族にお渡ししていた説明資料を、おくやみハンドブックとして全面リニューアル。官民の壁を超え、ガス、電気、銀行、携帯会社等の様々な主体の協力を得て、主要な死亡に関する手続きを網羅した内容となっている。
取組④ 企業と連携した終活ノートの作製
おくやみ窓口運用後に、おくやみ窓口利用者の15%が生前の相談であることに着目。また、遺族からも、「葬儀の希望を聞いておらず大変だった」等の声を聞いていたことから、人生の終末期に迎える死に備えて自身の希望を書き留めておく終活ノートを、本市と包括連携協定を締結している第一生命保険株式会社との協働によりゼロ予算で作製。著作権に係る契約を結べば、他自治体も無償で使って頂ける。
取組⑤ 終活ノート記入に関するサポート体制の構築
終活ノートについては、内容に関するお問い合わせも多いことが予想されたため、第一生命保険株式会社宮崎支社に配置されている、相続コンサルタントに相談いただける体制を構築した。ノートの考え方や書き方について、市民に説明する出前講座も開講する予定。
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・終活ノートの作製に尽力いただいた第一生命㈱においては、顧客満足度向上の観点から、フォントや文字の大きさ、色等も高齢者が見やすいユニバーサルデザインを意識して作製に当たっている。
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・おくやみに関する取組については、故人の基礎情報の把握や遺族の安心感の観点から、本事例のように行政が主体となってこそ将来展望が拓ける分野であると考える。
・多額な費用が発生する取組ではないことから、安定的な運営が可能である。
・マイナンバーカード市区別交付率日本一の都城市だからこそ、マイナンバーカードが国民のインフラとなった時代を想定しており、民間との連携に際してもマイナンバーカードを鍵とする未来を見据えた取組である。
・おくやみ窓口では、滞在時間増に繋がる相談機能を強化しているにも関わらず、設置後の遺族の庁内滞在時間は30%削減されており、市民サービスの高質化と負担軽減を両立して実現することができている。これまで必要な手続きの漏れや民間の手続きで必要な証明書が後日判明する等で、市役所に最来庁していたようなケースの解消による効率化は上記数値に加えていないが、相当な時間の効率化に寄与しているものと考える。
・おくやみ窓口に係る利用者アンケートによると、99.5%が満足と答えており、行政が提供するサービスにおいては、異例とも言える数値を記録している。
・終活ノートについても、本市が発刊している他の印刷物と比べて非常に好評であり、市役所に架設する形での配布であるにも関わらず、コロナ渦の中で、1月で人口の1%を超える2,000冊を超える配布が完了し、市で最も人気がある発刊物となっている。新聞等で取り上げられた後には、他自治体の住民からも問い合わせが殺到しており、他自治体からも作製したいとの問い合わせが入ってきている。
・おくやみ窓口の設置で、各窓口における聞き取りや振込口座確認等の重複事務が解消されていることから、行政効率化にも大きく資する取組となっている。
・終活ノートをきっかっけとして、葬儀やお墓、財産、さらには飼っているペットのことなど、様々なことを家族と話すことで終活に向けた整理ができ、安心したとの声が上がっている。
・終活の取組を進めることにより、円滑な相続に寄与することができることから、現在相続人不明等で社会問題となっている空き家問題を解決する端緒となることや、金融機関口座等の適切な把握による休眠口座の減少による経済の活性化等の効果も期待される。
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・現在は、民間のおくやみ関連手続きに関して、終活ノートや聞き取りをもとに、当市で案内やサポートをしている状況であるが、今後は情報銀行のような機能を設け、死亡の際にどのような手続きが必要になるかを官民問わず正確に把握するとともに、一度の処理で複数の手続きが可能となるよう、オンラインでの電子申請への移行を目指す。
・この場合には、遺族にプッシュ型で必要な手続きの情報を届ける機能が必要不可欠であると感じている。
・電子申請に移行する前段として、オンラインでおくやみ窓口の予約等を行う際に、同時に事前ヒアリングを行うことで、より効率化を図る仕組みを構築する。
・情報の一元管理、活用、そして死亡手続きサポートについては、官民連携した協議会等による検討が必要になるものと考える。
・既に他自治体から、本取組に係る視察や調査、質問が多数入っている。どの地域でも等しく抱えている課題であること、さらに本課題は今後ますます深刻なものになっていくこと、そして横展開がしやすい仕組であることから、全国に展開されていくことが必然の取組であると考える。また、様々な領域において、死亡後の手続きがスムーズに行われ、相続が促進されることにメリットがあることから、さらに多くのプレーヤーを巻き込むことが可能であり、将来的には国を挙げてのプロジェクトとなってもおかしくない取組であると考えている。
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